25、合宿�� ページ25
「Aさんは2年生なのに副主将なんだね」
「あ、はい。ウチは主将、副主将は実力順なので」
「じ、実力順って俺は一生副主将にもなれないやつじゃん……」
清水に聞かれた事を、おどおどとしながら返す。
隣から東峰がどんよりとした空気を漂わせた為、直様澤村に怒られていた。
「A！次は音駒のとこ行こーぜ」
「音駒はしょっちゅう会ってるじゃないですか」
「でも挨拶は挨拶だろ？」
「……分かりましたよ」
二人は烏野3年組に一言言うと、音駒のパラソルへと向かった。
「こら研磨！ゲームを置きなさい！そして海へ行きなさい！」
烏野の時よりがらりとした音駒のパラソル。パラソルの下にいるのは黒尾と孤爪だけだった。
「おーい黒尾〜孤爪〜！」
「おぉ木兎じゃねーか。あとAちゃんも。元気してた？」
「はい」
のうのうとしている黒尾に対し、Aは少し冷たい態度を取る。
「ちょ、Aちゃん冷たくなーい？」
「普通です」
いや、少しどころではない。
実を言うとA、黒尾が苦手である。理由は簡単、
「また彼氏できたんだって〜？木兎と早く付き合えばいいのに〜」
面倒臭い。これだけの事だ。だからあまり関わらない様にしているつもりだ。
「A、助けて……」
だがA、
「研磨久し振り！向こう行って遊ぼ？」
孤爪は大好きである。もちろんlikeの方であるが。
ちょうど良い所に現れたAに助けを求める孤爪は疲れ尽きている。
「Aとなら別にいいよ」
「本当？！やったっ！」
Aは孤爪を連れて、そそくさその場を離れようとする。
「おいA！Aは俺と遊ぶって約束しただろ！」
「え、……木兎さんもいるの？」
「あーうん」
「じゃあ俺、ゲームしてる」
「ごめんね。また遊ぼ？」
「うん分かった。気をつけてね」
しかし木兎に止められ、A自身も木兎と遊んでいた事を思い出した。
黒尾はまたゲームをしようとしている孤爪を叱り始める。
「あ、クロ先輩。3泊4日、宜しくお願いします」
孤爪が捕まった今、黒尾から脱れる手段は一つ。
「木兎先輩、早く！」
逃亡だ。
ダッシュで海の方へ走って行くA。木兎も慌ててそれを追いかけた。
「こらお前ぁぁぁああ！」
黒尾の怒鳴り声はきっと気のせいだろうとAは走り続けた。
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作者名：もやし | 作成日時：2020年10月22日 23時
