好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ24)

今日:9 hit、昨日:6 hit、合計:117,118 hit

24、合宿⑨ ページ24

「ぎゃぁぁぁぁあああー！！！」

「ヘイヘイヘーイ！！」

ただいまAと木兎は浜辺で立ち幅跳びをしている。
何故ここに来て立ち幅跳びなのかは不明だが、この二人に免じて許して欲しい。

「木兎先輩ハンデくださいって言いましたよね？！」

「あれ？？そーだっけか？？」

「もう！体格からして違うんですから！」

負けた事が相当悔しいのか、木兎に八つ当たりをするA。まぁ確かにハンデは有りというルールだったはずだ。

「てかAさ、烏野に挨拶行かなくていいのか？」

「あー……」

完全に忘れていた。
岬を捜すが、黒尾と話が盛り上がっているのか邪魔はできぬ様子。
普通は主将が行くべきだろうと、何度溜め息を漏らした事か。

「ちゃんと待っててくださいよー」

「俺も行く！」

「……ちゃんと静かにしててくださいよー」

木兎の扱いが雑なのはいつもの事だ。木兎自身も何も感じていない。

Aはパラソルの下にいる烏野3年組の元へと足を向けた。

「こんにちはー。梟谷副主将のAAです。烏野の澤村先輩と菅原先輩と東峰先輩と清水先輩で合ってますか？」

「あ、Aの妹さんか！」

「え、あ、はい」

Aが恐る恐る覚えたての名前を口にすると、澤村が思い出したように声を上げた。
どうやら岬、この様子では挨拶は済ませたよう。

「岬姉、文句ばっか言ってごめんなさい！」

「え、？」

Aは浮き輪で浮いている岬に視線を送る。
岬はちょうど近付いて来た砂上に、ばしゃりと海水を食らわしていた。
Aにつられて澤村達も岬を見る。

「やっぱAはしっかり者だよな～」

「人は見かけによりますね」

「……その目はなんだよ！」

しれーと木兎を見ているのに気付かれるが、特に気にはしていない様子。
それよりも烏野3年組にビビっているのか、木兎の方へ一歩寄った。

「意外とAは人見知りな所あるよなー」

「見かけによらないな」

木兎がその行動を見てポツリと呟くと、菅原が先程のAの言葉とは対称な発言をした。
意外とぐいぐいくる菅原に、Aはまた一歩木兎に寄る。

「こらスガ。怖がらせちゃダメだろ」

「ごめんごめん。一つ年下の女子とかと関わりないからつい、」

澤村に注意されると、素直に謝る。
悪い人ではなさそうだと、Aは少しほっとした。