好きと気付いたバレー馬鹿【木兎光太郎】 (ページ26)

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26、合宿①① ページ26

「疲れた～」

木兎の子守りに一日中付き合ってヘロヘロなA。
楽しかった事と言えば、旅館の広々とした温泉で烏野1年マネージャーと仲良くなれた事だ。

「仁花マジ可愛かった」

風呂上がりで廊下をのろのろと歩く。他の梟谷女バレは先に食堂へ向かったようだ。

「だから“飛べない烏”なんて言われるんだよ！」

「っな、今の取り消せ！謝れ！」

向かったはずだ。

「何してんの二人とも！」

「あ、A先輩！こいつが！」

「こいつって言うな！それよりお前が先に、」

「お前じゃないし！」

何ともまぁ幼稚な言い合いである。いくら木兎の世話に馴れているAでも溜め息が出る。

「詩乃、説明して？」

「なんかこいつが睨んできたから」

「お前が睨んできたんだろ？！」

なかなか話が進まない。加えて睨んできたからと両者口を揃えて言う。非常に迷惑だ。

「えっと、烏野の日向君だよね？ごめんね、ウチの詩乃が」

「あ、いえ！俺もすんません」

こう見る限り悪い人ではないのだと、菅原同様に感じたA。
烏野は良い人揃いなのかと感心した。

「ほら、詩乃も謝って」

「嫌ですよ！こいつが悪いんですから」

何故ここに他のメンバーがいないのだろうか。確か日和は伊織と一緒に食堂へ向かったはずだ。
まさかではあるまいが、伊織は日和を置いて食堂へ向かったのか。

「いや蘭に限ってそんな事……」

事実、ここに日和が一人でいる。

「あるな。大いにある」

Aは一人で頭を抱えるのであった。