こちら側で出来ること ページ15
『ねぇ、こっちに来た時最初にいたのって、あの公園だったっけ?』
「ああ、そうだけど……」
コナン君が答える。
そう、確か、私が本を読んでいるところに声をかけてきたんだ。
あのときは「迷子」って言ってたけど、次元の迷子とか聞いてないよ、私。
『じゃあ、そこに手掛かりを置いといたら良いかも。迎えが来るとしたら、こっちに転移した場所を調べてくるかもしれない。』
言われてみればそうだ。こっちに来ても、コナン君がどこにいるか分からなければ意味がない。
すごいな。コナン絡みだからか、推理力が冴え渡ってる。
……そうだ。その方法なら、予測通りじゃなかったとしてもいける。
「もし調べられなかったとしても、同じように博士の家から来るなら、場所が大きくずれない可能性もある!」
「それだ!」
コナン君の顔が、心なしか明るくなった。
助けを待つだけじゃない。自分に出来ることがあるってわかったからか。
何もできないのは、つらいもんね。
「よし、じゃあこのベンチの下に暗号を隠して……よし、できた」
数時間後、私とコナン君は例の公園に来ていた。
救援にきた二次元側の人へのメッセージを込めた暗号を隠すためだ。
「それにしても、なんでベンチの下に?気づかないかもしれないよ」
暗号の書かれたメモを貼り付けているコナン君に、尋ねる。
ベンチは低い。
下に貼りついたメモは、手前ギリギリにあるとはいえ、覗き込まない限り見えない。
「それは、ここに来るのが灰原だからだよ」
「哀ちゃん?」
博士が自分で来ないのは予想できる。
向こうで機械の操作があるかもしれないからだ。
それに、博士じゃ知らない場所で身軽に動いたりできないだろう。
でも、なぜ彼は、実行者を断定できるんだ?
「もっと、こう……少年探偵団の子たちとか、服部君 ──は大阪だから無理だけど、安室さんとか、じゃなくて?なんで哀ちゃんだってわかるの??」
「わかるさ。灰原なら、そうする」
コナン君は、確信した顔でそう言った。
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桜 - これめっちゃ現実性あるねぇ (2020年8月30日 20時) (レス) id: 44f3b52daa (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - コナン側、主人公側、互いの立場から来る優位性のようなものがなく、また主人公の心情や周りとの関係性の変化などとても読み応えのあるものでした。読後感はどこか物悲しく、しかし確実に続編への布石を……!このあと続編の方を拝読します!ありがとうございました! (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
ほろにがクラゲ(プロフ) - サブタイトルでちょっと笑って読み始めたのですが、読み進めるうちにどんどん引き込まれて行きました。何より他の二次創作との差を感じたのが、主人公たちのいる世界が「コナン」側の世界とまるで対等であるように描かれていると感じた所です。 (2020年8月18日 0時) (レス) id: ad5934c8e1 (このIDを非表示/違反報告)
綺月(プロフ) - ナミさん» 最後まで読んでいただきありがとうございます。続きは……もう少しお待ちください! 作者としても、チーム『マクスウェルの悪魔』には、残された沢山の謎を解決してもらいたいですからね笑 いつも、感想と励ましの言葉をいただけて、とても嬉しかったです。 (2020年6月30日 22時) (レス) id: a7057fda4f (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 最終回とっても面白かったです。組織の研究所みたいなことを言っていたので今度はトリップかなと続きが楽しみです。続きがどうなるのか?それとも無しなのか?出来れば続いて欲しいです。最後にお疲れ様でした。 (2020年6月29日 4時) (レス) id: 134760d3d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺月 | 作成日時:2020年5月9日 0時