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赤「…先程も言ったが、俺はいつも勉強や習い事ばかりで、自分の好きなことは全くできなかった。
そんな俺に、母が1つだけ与えてくれたもの__
それが、バスケットボールだったんだ。
最初は父には反対されたが、母が説得してくれたらしくてな。
母とバスケをする時間が、
俺が唯一"楽しい"と思える時間だった。」
そう話す赤司くんは、『懐かしいな』と言って少しだけ微笑んだ。
貴「赤司くんのお母さんは、昔バスケをやっていたの?」
赤「いや、母は令嬢でスポーツは禁止されていたらしい。見るのが好きだ、と言っていたよ。
それでもバスケのことには詳しくてね。
俺に色々と教えてくれたよ。」
10年前__
俺はいつも通り限られた時間ではあったが、
庭でバスケットボールをしていた。
『征十郎__』
そう俺を呼ぶ声の主は母だった。
『はい。なんですか?お母様。』
『あなたは、バスケットボールが好き?』
『はい。』
突然なんだろう、と思った。
弾ませていたボールを一度落ち着かせる。
『そう…。
なら、好きでいる限り続けなさい。
人はね、自分が好きなことをしている時が1番輝いて見えるのよ。
あなたには、その光を見失わないでほしい__
それが、お母さんからのお願いよ。』
『お母様…?』
そう言って母は俺と同じ目線になるくらいにしゃがみ、俺の頭に手を置いた。
『バスケットボールをやってくれて、ありがとうね。』
『?はい。』
母は静かに微笑む。
『そうそう、征十郎は好きな人はいるのかしら?』
『好きな人、ですか?』
俺が首を傾げると、母はくすりと笑った。
『そうよ?まだ早いかしらね。
…きっとこの先、
ずっとこの人といたいと思う日が来るわ。
その時は、最後まで自分の想いを貫き通しなさい。』
母はそう俺に言った。
その時は突然どうしたんだと不思議に思っていた。
けど、今ならわかる。
母はこの時にはもう__
赤「__それから数ヶ月後、母は病気で亡くなった。
自分が長くないことは、もうわかっていたらしい。」
平静を保ってるけど、相当辛いだろうな。
私は自分の手を、そっと彼の手に重ねた。
貴「赤司くんのお母さんは、優しくて、強い人なんだね。」
赤「…あぁ。」
一度でもいいから、赤司くんのお母さんに会ってみたかった。
素敵な人だったんだろうな。
―――――
半端ですみません
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なみだうさぎ(プロフ) - Aimerさん» ありがとうございます!! (2016年7月29日 10時) (レス) id: beb0875317 (このIDを非表示/違反報告)
Aimer(プロフ) - 小説読みました!!すごく面白かったです。これからも楽しみにしてます。 (2016年7月10日 15時) (レス) id: 48157f820f (このIDを非表示/違反報告)
☆wkn☆(まさかの偶然www) - なみだうさぎさん» wwwwそうですよねwwお気持ちお察しいたしますww← 大胆な赤司様も素敵…(真顔)←← (2016年5月28日 10時) (レス) id: 741b238ec7 (このIDを非表示/違反報告)
なみだうさぎ(プロフ) - ☆wkn☆さん» お久しぶりです!私の方も書いててニヤついてしまいました笑笑 (2016年5月15日 20時) (レス) id: beb0875317 (このIDを非表示/違反報告)
☆wkn☆ - 赤司いいいいい!!(*ノωノ)いきなり大胆になりやがって…!そんな子に育てた覚えはないぞ?!← あ、なみだうさぎさん!お久です(^^♪ (2016年5月12日 18時) (レス) id: 741b238ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よもぎ | 作成日時:2016年3月4日 18時