検索窓
今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:1,261 hit

『こころ』 7 ページ16

『恋は罪悪ですか?』

今読んでいる、この本の主人公『私』に問いかけられたように錯覚した。

問いかけたのは、目の前に座る教え子だとわかっているのに。

『女生徒』を貸した時のように、きらきらと楽しそうに目を輝かせる彼女はいない。むしろ、困ったような、悩んでいるような、そんな表情。少し暗いとも感じられる。

だけど、『こころ』(これ)を貸したことに後悔はしていない。むしろ良かったと思っている。

ただ純粋に、前だけを向いて悩むことが出来るのは、限られた時間の中でしか許されない。

そんなに不安そうに僕の方を見ないでください。僕だって不安ですよ。

恋は罪悪か。なんて、人それぞれでしょうけど、僕に言わせたらそんなの一つしか無い。

許されないことですから。

「そうですね」

彼女は、笹草さんは、何を思って聞いてきたのかはわからないけれど。

僕は貴女のためにも、肯定してはいけないし、出来ないんです。

嘘をつくのは、いけないことなので。

しらじらしいと、自分でも思いますが、それでも嘘はつきたくないんです。

罪悪を否定して欲しいという自分を忘れずに、それでも、それは間違っているとわからないといけないんです。

上書き保存では無くて、新しいファイルを追加するように。

「恋は、罪悪ですよ」

僕の恋は、戒めても言うことを聞きそうにありませんけど。

もうすぐ夏休みで、貴女と会える機会が無くなってしまうので、

今のうちに、感想文に夢中の貴女を眺めていても良いですか?



『こころ』 完

『マルレネ・ディートリッヒ』 1→←『こころ』 6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みい x他1人 | 作成日時:2017年5月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。