先生と私【3年A組】#2

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柊『そろそろタイムリミットだ』




夜8時前、
先生は教室に入り
教卓の前に立った。




柊『まずは、僅かな可能性に賭けて、
フェイク動画撮った人!』




先生は片手を上げて挙手を求めるが
誰もあげる気配はない。
チラリと里見くんを見るが
里見くんは窓の外を見ているだけだった。




柊『仕方ない。
じゃあ刑事さんに当ててもらおうか…
刑事さん、分かりましたか?』

郡『あぁ、直前まで迷ったけどな』




先生が教卓に置いたスマホから
郡司警部補の声が返ってきた。




柊『ちなみに、誰と迷ったんですか?』

郡『熊沢花恋と里見海斗と渡海春瑚だ』




ああ…やっぱり疑われてたんだ…
まあ、何もしてないし…怖がることなんてない。





柊『へぇ、里見と春とは意外ですねぇ』

郡『里見は真壁から…渡海は景山澪奈から
ジャージを借りていた』

柊『間違いないか、春』

『……はい
会場の温度が私の体調に合うか分からないから
着ていてと言われて渡されたので着ました』

郡『里見海斗、彼を更衣室に案内した
大会関係者も見つかった
里見がイケメンだから覚えていたそうだ

渡海についてはお兄さんと会場にいたと聞いたから、お兄さんに会いに行って直接確認をとった。

お兄さんの職場の同僚2人とも当日連絡を取り、
お兄さんと渡海春瑚ともテレビ電話で会場で会話をしていることを確認した。

また、お兄さんの不機嫌そうな態度が受付の女性にも覚えられていた。
景山澪奈のレース終了後、すぐに2人で帰ったことが確認されている。

じゃあ問題は熊沢花恋と里見海斗どちらがこの動画を撮ったのか
その鍵を握るのは、袖の汚れだ』




袖の汚れ…
そう言えばあの動画にはあった。
………っていうか…私この人におにいと見に行ったなんて言ってないけど…




柊『袖の汚れ、
あぁ確かに、オレンジ色の染みがついてますね』

郡司『恐らく何かが付着して洗ったんだろう
そこで2人にその日何を食べたのか聞いてもらった』



返ってきた警部補さんの言葉に
違和感を覚えた。
聞いてもらったって…誰に?




郡司『その結果、
1人がトマトジュースを飲んでいた』


柊『トマトジュース…
確かにトマトジュースならオレンジ色の染みが付きそうですね
で?その生徒は一体誰だったんですか?』

郡『熊沢花恋だ』

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