16の思春期:3 (ページ4)

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洋ちゃんの姿を捉えた瞬間
心臓が一気に跳ねた。

『よ、洋ちゃん！？』

まさかの人物に、思わず動揺の声を漏れた。

不審な態度を取ってしまったのが気に食わないようで、深く眉間に皺を寄せ
不機嫌な表情を見せる洋ちゃん。

「俺が来たら不味い事でもあんのか？」

『べ、別に？』

目を泳がせながらも否定すれば

「まぁ、良いけどよ。」

若干、何か言いたそうな表情を向けたが
最終的には、納得してくれた様だった。

そんな一連のやりとりを見ていた春市君は
言い難くそうに、渋々と声を掛ける。

「監督から降谷君を呼んで来いって
頼まれたので、探してるんですけど
中々見つからなくて・・・」

困った表情の春市君。

洋ちゃんは事の発端を聞いた後
深いため息を吐き捨てた。

「世話の焼ける1年だな。
ったく、御幸も居ねーし
彼奴は何処行きやがったんだ。」

『そう言えば御幸さん
梨花って女の人と何処かに行ってたよ。』

“梨花”

その名前を口にした途端
洋ちゃんは、目を大きく見開いた。

明らかに動揺の色を見せる洋ちゃん。

「お前、なんで知って」

問いかける声が微かに震えているのを感じる。

『知ってるも何も
さっきまで一緒だったから？』

疑問系で投げ返す私に
バツの悪い顔つきで何かを考え始めた。

かと思えば

「A、降谷と御幸を探しに行くぞ」

その言葉だけを向けて
さっきまで居た方向へ歩き始めた。

とてつもない違和感に襲われながらも
私は、洋ちゃんの後をついて行くしかなかった