【 ◇のA 】捕手と遊撃手と帰宅部と。 Ⅱ【男主】 (ページ28)

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#78. ページ28

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あるよく晴れた日
先程まで青かった空も、いつの間にかオレンジ色に染まっており綺麗な夕日が浮かんでいた。

確かオレンジ色の夕日は翌日も晴れ…だったか。いつか見たテレビの情報、そんなものを思い出しながら買い物袋と見慣れた店のケーキの箱を持って帰宅した。

朝から閉店の夕方まで兄貴のケーキ屋で働いている。
高校卒業してすぐ働き始め、早数年。
あの家とは少し離れた場所に住んでいるが、車で数十分の距離。ベランダから街が、そして学校が一望できる綺麗な場所。

テレビを付けて、ニュースを流しながら晩御飯の準備に取り掛かった
今日はガッツリ系が食べたい、と言うことで俺も、俺の兄貴も作るのが得意な唐揚げを。
かなりの鶏肉の量。下味をつけ少し寝かせて、その間にサラダを。

そんな作業を1時間。外は真っ暗、車の音とテレビの音が部屋に響く。

「あーただいま」

玄関の開く音。『おかえりー』と返事をし、顔を上げた
疲れた顔でリビングに入ってきた倉持。スーツ姿でぐったりとしている。

今日も仕事がハードだったんだろう
結局プロにはならず、就職。今は営業で頑張っている。
スーツを脱ぎながらキッチンに入ってきた倉持、料理を見て「すっげぇ」と目を輝かせた

下味をつけた唐揚げが揚がるのを2人で眺めていると、テレビから大歓声が上がる。なんだと思い火を弱めテレビに視線を移す。

そこには御幸の姿が映し出されていた。すぐに実力を発揮しこの間一軍に昇格した彼は、今日初めてキャッチャーとしてドームに足を踏み入れた
そこで大活躍したんだろう。初ヒットがホームラン、その字幕と共に何度も繰り返されている

「凄かったですね…！今の気持ち、誰に1番伝えたいですか？」

ヒーローインタビュー、女子アナが御幸にマイクを向けた
髪が短くなった御幸、さらに女子人気が増え歓声が四方八方から飛んでいる

「そうですね…親もですけど、やっぱり家で帰りを待ってくれてるパートナーですかね」

「パートナー…？！彼女さん…という事ですか…？」

「まぁ、そんな所です。あと、高校の友人とも一緒なのでその2人に伝えたいですね」

ニコニコと変わらない笑顔でインタビューを受けている御幸。倉持と2人顔を見合せ笑った

「クサいセリフ」

『でもかっけぇじゃんね！』

全ての料理を作り終わって2、3時間。帰って来た御幸に2人で勢いよく飛びついた。
流石俺の友人。ずっと変わらず大好きだ。

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END