act.14 ページ16
パチリ、と目をさます。
ピッピッピッと鳴る規則正しい音とどこもかしこも真っ白な部屋。
左手には点滴が刺されている。
ああ、ここは病院か。
まだ生々しい左足首の手錠の跡の怪我を見てようやく孤児院から救出されたときのことを夢で見ているのだと気づいた。
そういえば俺はショックで1ヶ月間昏睡していたのだったな、と他人事のように思い出す。
目覚めた俺の隣には雪はいなかった。
二人ともショックが大きすぎるから心の傷が癒えるまでは会わないほうがいい、と大人たちが決めたからだ。
『雪くんは先に孤児院に帰ったよ。
それより飛鳥くん、新しい家族に挨拶しよっか』
雪のことについて聞いたときに看護師が言った言葉だ。
誰よりも大切な家族が急にいなくなり、茫然とした俺の入院室に来たのは無表情な男の人と俺を嫌なものを見るような目で見る女の人、そして車椅子に乗っている男の子だった。
これからこの三人が家族になるのだと医師が言った。
『かわいそうに。天祥院財閥の印象を良くするための慈善活動に利用されただけでしょ、あの子』
『でも、いいんじゃない。天祥院のとこ以外にあの子を欲しがるとこなんてなかったじゃない。
あの子、確かに顔はとってもいいんだけど
無理矢理とはいえ毎日もう一人の子とやってたんでしょ？
それにストレスで味覚障害持ちらしいじゃない。食べ物の味がわかんないだとか。
そんな子誰も受け取りたくないわよ。』
『確かに。まだ10歳なのにかわいそうよねぇ』
コソコソと話す看護師たち。
孤児院の一室に閉じ込められている間、あの人がいない間はずっと雪と経済学や数学書、六法全書などの本を読んでいたからか俺と雪はずば抜けて頭が良かったのだと思う。
だからか、俺は看護師たちが話していることの意味を全て理解してしまったのだ。
心が急速に冷めていくようだった。
家族もいないし味も感じない。
生きている意味さえもないように感じた。
幼い俺はあの時初めて世界の残酷さに絶望したのだ。
それから何年かして雪がテレビに出るようになった。
俺は画面越しでも雪に会えるのがとてもうれしくて、それで俺も芸能界に入りたいと思った。
天祥院の旦那様にモモセ孤児院に行くことを禁止されている俺にとって芸能界に入って雪と一緒の仕事に就くことが雪に会えるただ一つの道だと思った。
英智様がアイドル科に行く、と言い出したから俺はそれに便乗するようにアイドル科に来たのだ。
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蒼井 - 月夜 黒輝さん» ありがとうございます！俺様と我輩もどっちも素敵ですよね〜。更新再開したのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年7月14日 10時) (
レス) id: ff348a2def (このIDを非表示/違反報告)
蒼井 - サクさん» ありがとうございます！精一杯頑張るのでこれからもよろしくお願いします！ (2019年7月14日 10時) (レス) id: ff348a2def (このIDを非表示/違反報告)
月夜 黒輝(プロフ) - 凄く好きです！自分も推しは朔間先輩です！俺様ちゃんもいいし我輩もどっちも好きです！大好きです！続きが欲しいです！更新再開希望です！ (2019年7月11日 0時) (レス) id: 7066949ba0 (このIDを非表示/違反報告)
サク - 面白いです！更新、頑張ってください！応援してます (2019年2月15日 21時) (レス) id: 5e249cc371 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼井 | 作成日時：2019年2月1日 20時
