青柳先輩 ページ38
次の日はいつも通り大学に行って、彼の家にも寄らずまっすぐ帰る予定だった。なにも考えずにふらふらと大学を出て、校門に突っ立っていた人物に、息を呑んだ。
「や、久しぶり」
ひらひらと手を振る青柳先輩がそこに立っていた。
***
立ち話もあれだからどっかカフェでも行こうよ、なんて言いくるめられて、私は大学の近くのカフェに座っていた。
私はストレートティー、先輩はコーヒーを頼んで、あい向かいになって座る。
「なんで来てくれたの」
「逆になんで来たんですか」
「そんな不機嫌になんないでよー、例の男の子と約束でもあった?」
「……真面目な話じゃないなら帰りますよ」
「いやいやまってまって! けっこー真面目な話だから」
がたりと音を立てて立ち上がろうとすると、先輩が割と本気で焦った顔をして引き留めた。その表情と袖を引っ張る力の強さに負けて、仕方なく座り直す。
ストレートティーをストローで吸うと、一気に冷気が体の中に入ってきた。温かい飲み物にすればよかったかもしれない。そう後悔しながら、先輩の顔を見る。
「で、なんですか? 真面目な話って」
「んー、気分悪くなるかもしれないけど、僕なりにAのことを思って考えたことだから、ちゃんと聞いててね?」
首を傾げて、こちらを慮るような視線。青柳先輩がする話にしては珍しい。私はこくりと頷く。
先輩は、砂糖とミルクをたくさん入れたコーヒーをひと口ごくりと飲んでから、話し始めた。
「まず第一に、僕とそのキスフレさん……桃原さとみって言うんだよね、その人、僕の知り合いなんだ」
「へえ」
顔の広い先輩のことだから、特段驚くことでもなかった。普通の反応を返すと、彼は『言い方ミスったかな』というような顔でこちらを見返す。首を傾げてその先を促した。
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紬(プロフ) - みかささん» ほんとですか?!ありがとうございます!だんだん少女漫画チックになってきてて困ってます……シリアスはどこいったんだ…… (2020年8月10日 12時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかさ(プロフ) - 最後のりいぬくん登場かっこよすぎます! (2020年8月10日 11時) (レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - きずなさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 三分くらいコメント眺めてにやにやしてました() 夏休み中に完結できるよう頑張ります! (2020年8月2日 12時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
きずな - 凄い良かったです更新まってます。 (2020年8月2日 11時) (レス) id: 56f6207354 (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - ありがとうございます!初投稿なんでめちゃくちゃ動揺してます……面白いと言って頂けて嬉しいです! (2020年8月2日 6時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紬 | 作成日時:2020年7月30日 21時