友達 ページ12
高校からの友達である春香とは学部が違うため、私たちが大学内で顔を合わせることは少ない。お財布も持っていないため食事をしにきた訳でもない、ということは、私になにか用があるのだろうと推測したのだが、どうやら当てが外れたようだ。いくら春香でも、人に用事があるならちゃんと覚えているだろう。
勝手にそう判断してうどんを啜る。一口飲み込んだところで、別の話題に切り替えた。
「最近どう? 変わんない?」
その声により、長い思案から抜け出した彼女ははっとしたように私を見て、それからでろーんと表情を変えてこくりと頷いた。
「変わんない」
「そっか、私も」
「素敵なキャンパスライフなんて夢のまた夢だよ、課題の山を少しずつ切り崩していくのに一苦労」
「そっか……」
理系の春香に対して文系の私は課題が少ない。若干の負い目を感じながら相槌を打つ。ごめん春香、私のキャンパスライフが充実してないのは課題のせいじゃない。
そういう思いを心に留めながら涼しい顔をしてうどんを食べていると、「春香ー」と彼女を呼ぶ声が遠くから聞こえた。男の人の声だ。そう思って声の方を振り返ろうとすると、十分に顔を確認できていないまま春香が彼の名を呼んだ。
「涼介くん」
お、と思って今度は春香の方を見る。春香は可愛いからモテるけど、ガードが固いから男の人を下の名前で呼ぶことは少ない。ということは、彼は春香の特別な人ということだ。興味をそそられて彼の顔を見ようとすると、彼も私のことを見ていて、慌てて口の辺りをおしぼりで押さえた。
「こんにちは」
「こ……こんにちは」
うどんを飲み下しながら挨拶を返す。爽やかな人だ。そういう第一印象を抱きながらよく見てみると、というかよく見るまでもないけれど、男の人の後ろに数人の男女が立っていた。春香の友達らしい。
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紬(プロフ) - みかささん» ほんとですか?!ありがとうございます!だんだん少女漫画チックになってきてて困ってます……シリアスはどこいったんだ…… (2020年8月10日 12時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
みかさ(プロフ) - 最後のりいぬくん登場かっこよすぎます! (2020年8月10日 11時) (レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - きずなさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 三分くらいコメント眺めてにやにやしてました() 夏休み中に完結できるよう頑張ります! (2020年8月2日 12時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
きずな - 凄い良かったです更新まってます。 (2020年8月2日 11時) (レス) id: 56f6207354 (このIDを非表示/違反報告)
紬(プロフ) - ありがとうございます!初投稿なんでめちゃくちゃ動揺してます……面白いと言って頂けて嬉しいです! (2020年8月2日 6時) (レス) id: d3d4d4d9f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紬 | 作成日時:2020年7月30日 21時