黒尾鉄朗と元NO.1 (ページ13)

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『私は天月Aです。いい加減なこと言わないでください。』

私がそう言うと体育館の中が静まった。まだ私たち3人しかいなかったら当然だけど。私が口を開こうとしたとき、誰かが体育館の中に入ってきた。

夜｢はよー…ってなんだこの空気｣

黒｢あ、おはよ。えっと…｣

黒尾さんがやっくんに状況を説明した。やっくんは苦い顔をすると孤爪さんと黒尾さんにこう言った。

夜｢こいつも昔色々あったんだよ。あまり踏み込まないでやってくれ…な？｣

研｢うん…分かった｣

夜｢じゃ、準備するかーってもう終わってんな｣

『あ、うん私がした』

夜｢お、そうだったのか。さんきゅな！｣

そう言ってニコッと笑う。その笑顔を見ると何故か私たちまで笑顔になってしまった。やっぱりやっくんには敵わないな。

朝練も終わり、みんなそれぞれの教室に行こうとしたとき黒尾さんを呼び止めた。

『私、やっぱりマネージャーはできません』

黒｢そっか。まあするかどうかは本人次第だから俺がどうこういう筋合いはねぇんだけどさ｣

黒尾さんは頭を掻きながらこう言った。

黒｢もしかして、昔のこと引きずってる？｣

黒尾さんは優しく私に微笑んだ。黒尾さんってこんな顔見せるんだな。

『…はい。少し、というか大分引きずってます。正直今日のサーブ練習も嫌だったんですけどね』

黒｢じゃあなんでやってたわけ？｣

『お父さんがやれってうるさくて』

黒｢あーお父さんバレーボール選手だったね。｣

『はい。だから仕方なくやっただけです。でも腕は落ちてなかったので安心しました。』

黒｢そっかそっか。ここに女バレあったら良かったのにねー｣

『…女バレあっても入ってませんよ』

私はそうボソッと呟いた。

『引き止めてすみませんでした。では、これで』

黒｢あ、ちょっと待って！｣

『まだなにか…？』

黒｢君が皐月Aだってことは隠しておくから安心していいよ｣

『そうですか。ありがとうございます。』

私はそう言うと教室へ戻った。…さすがに冷たくしすぎちゃったかな？でも私のことを知ってるなら関わらないで欲しい。ま、さっきのことは忘れてテンションあげていこっと。