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*1話(後編)* ページ2

「僕がカーテンを開けるよ。
(人1)はそのままベッドに入っていて?
誰かに見られて大丈夫な格好ではないだろう?」


「っ…」



私は頭まで布団を被り、耳を澄ませた。



「これは…可愛らしいお客様だな。
(人1)大丈夫。
そのまま顔だけ出してごらん?」



ハウルの言葉に、
布団から顔をヒョコッと出した私。


其処には、
窓枠に器用に足を掛け、佇む灰色の動物がいた。


毛はフサフサとしていて、
テトにも負けない位の毛並みだ。


けれど、キタキツネではない。



「梟?」



私は布団の中で器用に服を着ると、
窓辺に近づいていく。


クリッとしたつぶらな瞳をした梟は、私を見つめて首をコクッと傾げた。



「かっ…かわいいっ」



そう発言すると、肩に飛び乗って来たテト。


頭を私の頬にスリスリと擦り付けてくる。



「大丈夫。テトも勿論、かわいいわ」



そっとテトの頭を撫でる私。



「この梟、手紙配達の梟よね」


「ああ」


ハウルは梟が咥えた手紙を受け取ると、
僕は用済みです…と言わんばかりに、
空へと羽ばたいて行った。



「(人1)宛てだ」


「私宛て?」



基本的に、魔法使いは連絡手段として、
手紙を使用したりはしない。


魔法という手段があるからだ。


私もハウルも、お互いに魔法学校出身だ。


友達は魔法使いが多く、
此処何年も手紙など貰った事がない。



「誰からかしら…ソフィー?」



手紙の差出人は、
カブこと…王子のいるワンダーメア国へ嫁いだ
親友からだった。



「なるほど。
ソフィーなら、手紙をくれるのは頷けるね」


「ええ」



私はベッドに腰掛け、封を切った。


久しぶりの手紙にワクワクしながら、
文字に目を走らせる私だったが…



「何て書いてあるんだい?って…随分と短いね」



便箋に書かれていた文章は、たったの一文。





『(人1)どうしよう!
声が出なくなっちゃったの!!』





この時の私とハウルは、まだ笑っていた。



「ソフィーが慌てているのが想像つくわ」


「そうだね。でも、親友からの助け文だろう?」


「ええ。勿論、直ぐに向かうわ。けど…」



私はテトを抱き上げた。



「貴女は今回はお留守番。
前回みたいな事があったら、大変だから」


「くぅん…」



あの一件があってから、
人間以外にも守護が掛けられないか探っている私。


けれど、一向に見つかる気配はない。



「大丈夫。直ぐに治して、帰ってくるわ」


「くぅん」

*2話*→←*1話(前編)*



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作者名:美月 | 作成日時:2017年3月20日 13時

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