逃げても逃げても何度でも

【Be Fixed】 ページ7

(蘭side)



最近、俺も竜胆もAと幸せに暮らす夢を見て目が覚める。
現実に手に入ってねぇ、虚しい夢なんざムカつくだけだった。



窓を少し開け、煙草に火をつける。




思い出してイライラしてれば、竜胆の運転する車が赤信号で停車した。
スマホに視線を落としていると運転席の竜胆が息を飲んだのがわかる。





「どうしたんだ？」




「兄貴、見つけた」




「あ？」



竜胆に言われて後部座席から顔を覗かせる。



横断歩道を明るい茶髪のポニーテールと縁の細い丸眼鏡、グレーのスーツ姿の女が歩いている。




人の流れがスローモーションに見えて、女以外の色がなくなったようだった。
雰囲気は違えど、目の前の女は俺達が探し求めた鉢嶺Aだ。



直後、突き上げるように襲ってくる高揚感。




やっと…






見つけた！




「りんどー」


「あぁ」


少し離れて追いかければ、すぐ側のコンビニに入っていった。



車を向かいの建物の駐車場に停め、様子を伺っていると、すぐに車が来て、コンビニ脇にハザードをあげて停まった。




Aは、コンビニから出て車に乗り込むとすぐに車は発進して行った。




「は？」



その光景に、先程までの高揚感とは打って変わってまとわりついたのは苛立ちだった。

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