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『言わなくてはならない言葉……って、えっ！？』
私は、この状況には似合わない素っ頓狂な声を上げた。
……"潮江先輩"が、突然、目の前で深く頭を下げたから。
『ど、どうされたんですか！？とりあえず頭を上げ……』
「先程、お前が身を張って左門を守っているのを見た……勇気ある行動に、心から感謝する」
『！』
……感謝！？
今、この人、感謝って……
潮江先輩の言葉に、思わず私は話す口を止める。
緑の装束の一人は、驚いたように目を丸くした。
「文次郎」
「……それだけじゃない。お前が学園の掃除をしている姿も見かけた。しかし俺は、天女だからという理由でそれを認めていなかった……見ないふりをしていた。」
『見ない、ふり……』
＿暫しの沈黙。
私はただ、何も言わずに"潮江先輩"の言葉に耳を傾けていた。
既に日は暮れ、少し冷えた夜の風が吹き抜けて頬を撫でる。
「しかし、先程のお前を見て決心がついた。天女……俺は、お前を信じる」
『……！』
私は、大きく目を見開いた。
咄嗟に顔を上げて"潮江先輩"を見つめれば、真っ直ぐな瞳が私を捉える。
その真剣な表情に、この人が嘘をついていないのだと分かった。
『え、えっと』
……しかし、何と答えればいいのか。
いつもならすぐに言葉が出るのに、色々な出来事が一気に起きすぎて消化できていない。
すると、他の緑の装束の二人がこちらに近づいて来た。
そのうちの一人は、今朝本を貸してくれた人だと今更気づく。
二人は顔を見合わせ、小さく頷いた。
「モソ……私も信じよう」
「……俺も。伊作から話は聞いていたが、今見て思ったよ。やっぱりお前、凄いやつだな。疑ってすまなかった」
『皆さん……』
……どうしよう。
一番大きいのは、もちろん嬉しい気持ち。
けれどあと少しの不安が、私を止めている。
『えっと、私は』
どうしよう、何か言わないと、でも……
そう迷っていれば、潮江先輩が地面に落ちていた私の竹刀を拾い上げ、手渡してくれた。
そして、小さく微笑む。
「すぐに信じろとは言わない。しかし俺達は天女ではなく、お前自身を信じることにしたぞ。」
『私、自身を』
＿その瞬間、悩んでいた事が全て吹き飛んだ気がした。
……そうか。
この人は、この人達は、私を認めてくれた。
"天女"では無い、ありのままの私を信じてくれた。
だったら、迷う必要なんてない。
私も、ありのままの気持ちを伝えれば良いのだから。
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
