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『……嬉しい』

「……ん?」


私の聞こえない呟きに、"潮江先輩"は不思議そうに首を傾げる。

私は大きく息を吸ってから、頭を下げた。


『嬉しい……嬉しいです!ありがとうございます。そして、こちらこそごめんなさい……私の方こそ忍術学園の生徒だからと、あなた方を疑ってしまった』


……ここまで一息。

呼吸は少し苦しいけど、心は軽やかだ。

言いたいことがぜんぶ言えた。


「……俺は六年い組の潮江文次郎だ。よろしく頼む。」


私の言葉に潮江さんは頷いて、こちらに手を差し出す。

他の二人……は組の食満さん、ろ組の中在家さんも自己紹介をしてくれて、私は三人それぞれと握手を交わした。

そして私も、と口を開く。


『月原Aです。よろしくお願い……っ、』


しかし、右肩に走った痛みでそれは遮られてしまった。

すっかり忘れてしまっていたけど、肩を怪我していたのだったと今思い出す。


「おい、大丈夫か!?」


心配そうに顔を顰める食満さんに、私は縦に首を振る。

潮江さんはついていた火を消し、立ち上がった。


「喋るのはここまでにして学園に戻るぞ。傷は浅いようだが、放っておけば致命傷になりかねない」

「致命傷!?ここは学園からはどれくらい遠いんですか!?」

「それは……」


左門くんの問いに、三人の六年生は顔を見合わせて溜息をつく。

……もしかして、間に合わないくらい遠いのだろうか。

私が思わず息を呑めば、潮江さんが口を開いた。


「学園の周りの地形くらい把握しておけ、左門。そこをまっすぐ行けばもう学園に着く」

『えっ!?ここ、そんなに近かったんですね…』


私は立ち上がり、砂を払って息をつく。

 
感覚的には、ここまでかなり歩いた気がしたけど……

もしかしたら、学園周辺の山をずっと回っていたのかもしれない。


「まあ俺たちも、まさかこんなに近くにいたとは思わず遠回りしてしまったがな。結局、最初にお前たちを見つけたのは喜八郎だったし……ん?そういえば喜八郎はどこだ?」


……確かに。

先程から、落とし穴の彼……綾部さんの姿が見えない。


食満さんの言葉に一同が辺りを見回していると、それまで一言も喋らなかった青紫、五年生の人が声を上げた。


「喜八郎ならば、先に戻って報告するよう俺が指示を出しました。もう学園に着いているのではないでしょうか」

「そうか、ならば安心だな」


……綺麗な人、そう心の中で呟く。

一瞬目が合ったけれど、顔を逸らされてしまった。

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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