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"もう、私のことはいいから"
＿そんなこと言わないでください、天女様。
大丈夫です、僕が、必ず……
『……さん、伊作さん？』
「……あっ、ごめんごめん！ちょっと考えごとしてた」
Aちゃんの声、いつも通りの保健室の景色が戻ってくる。
……いけない、つい考えこんでしまった。
『考えごと……？』
「いや……全然大したことないから気にしないで。さあ、包帯を巻こうか」
僕は平静を装って処置を終わらせ、痛み止めの薬を渡す。
結局その日は怪我のこともあり、Aちゃんへの事情聴取は明日、教員のみで行われることになった。
生徒にはとりあえず脱走ではなかったことのみが伝えられ、詳細はまた追って、ということらしい。
「……じゃあ、言っておくけどくれぐれも安静にね！方の傷が開かないように！！」
『はい、ありがとうございます。気をつけます！』
Aちゃんを部屋に送ってから、僕も足早に長屋へ戻る。
ただいまと声をかけても返事は返って来ないため、どうやら留三郎はまだ仕事中らしい。
襖を閉め、僕は小さく息をついた。
「……はぁ」
ゆっくりと目を閉じて、また開く。
僕はまるで導かれるように、引き出しの一番下、一番奥の木箱に手を伸ばした。
.
.
.
Aside
『えっと、落とし穴、落とし穴……』
私は周りに誰もいないことを確認し、辺りを見回しながら歩く。
今日は安静にして、そう言われたというのになぜ落とし穴を探しているのかといえば、それは決して穴に落ちたい訳じゃない。
落とし穴の彼……綾部さんだったか、その人を探しているのだ。
お礼を、言うために。
『どこだろ……出来れば今日中に伝えたいのに』
竹筒をくれたこと、そして今日のこと。
彼は無愛想だけど、なんだかんだで助けてもらっている気がする。
あの後姿が見えなくて、伊作さんや潮江さんに尋ねれば、「落とし穴の中を探せば大体いる」と教えてくれた。
『あ、あれもしかして落とし穴……？』
長屋の先、いくつかの穴が見える。
転ばないように気をつけながらそこまで行き、私はゆっくりと穴の中を覗き込んだ。
『……いない』
……まあ、そんな簡単に見つかるわけないか。
この流れで中にいたら、どうにも都合が良すぎる。
他のところも探してみよう、そう立ち上がった時、私は人の気配を感じて振り返った。
『……え』
「……僕の落とし穴トシちゃん２号に何か用ですか」
……いた。
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
