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立花仙蔵side
「何をそんなに焦っている……！あまり激しく動けば、肩の傷が開きかねないぞ」
『わ、分かってます……でも、行かないとっ、』
＿走って、走って、また走る。
部屋を飛び出した天女を追いかけていくうち、たどり着いたのは図書室だった。
流石に疲れたのか、入り口の前で立ち止まり息を整える天女に、私は駆け寄る。
「来たかったのは図書室か……どうした、急に」
『話は、後です…と、とりあえず中へ』
まだしきりに荒い息をたてながら天女は立ち上がり、俯いていた顔を上げる。
その拍子に目と目が合い、私は思わず息を呑んだ。
「……！」
……右目の、薄紫に青白磁を溶かした透き通るような瞳。
やはり見間違いでは無かったのか、そう呟く。
最初からこの瞳の色だった筈はない。
なぜなら左目は黒のままであるし、始めて会った時も特に違和感は感じなかった。
では、いつから……
『立花さん？』
「…なんでもない」
私は平然を装い、首を振る。
……まあ、これは後で考えるとしよう。
『失礼します！って、あれ』
「……誰もいないな」
図書室の中に入れば、長次や五年の不破雷蔵の姿は無く人気が無かった。
思わず顔を見合わせると、奥の方から小さな人影が現れる。
「その声は立花先輩と…あっ！Aさんじゃないっスか！」
「ちょ、待てよきり丸……てっ、天女っ！？あ、さま…」
……図書委員会の摂津のきり丸に、後ろからついて来るのは同じく図書委員会の二年生、能勢久作。
恐らく、人が少ない時間帯であるから当番は二人なのだろう。
私にとっては何ら変わりもない風景だが、一方で、天女は腰を抜かしたように床にへたり込む。
『き、きり丸くん！それにこの子も……よ、よかった』
「えー！ちょっと、どうされたんすか？」
「よ、よかった？」
不思議そうに首を傾げる二人に、私は息をつく。
……なんだ、やはり何も無いじゃないか。
『な、何でもない！気にしないで』
「あっ、もしかして新しい文字の本を探してます！？中在家先輩から聞いてたんスよ、確かこの辺りに…」
「おい、きり丸、その棚！」
……それにしても、どうして天女はあんなに忙いでいたのだろう。
私を試した？
いや、そんなことは…
「ん？」
＿ここまで考えて、私はふと我にかえる。
何か、嫌な予感がして……
顔を上げれば、きり丸の目の前の棚がぐらぐらと揺れ、倒れかかっていた。
『きり丸くん！』
「……っ！」
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
