さんじゅう ページ32
『はい、あーってして下さい』
子供1「あー」
その日は、体調を崩した子供の診察をしていた
この辺りには、医者に診てもらえないような貧しい人々も多いから、ほとんど金を取らない私のような者は、割と重宝されているらしい。
医者自体が貴重な事もあり、武家のような裕福な方々が来ることもある。
まぁ、そういう人達からは遠慮なくお金を貰っているけれどね(本来より多く押し付けられる事もある)
『うん、これくらいなら咳止めと解熱剤だけで良さそうですね。
あ、でも子供は体調が変わりやすいですから、出来るだけ安静にしていてくださいね?』
そう言って薬を手渡すと風邪を引いた子供のお母様に頭を下げられた
母「いつもありがとうねぇA先生。」
『いえいえ!また何時でもいらしてくださいね。』
患者さんをお見送りして、今日の仕事は終わりだ
『うぅ…寒いッ…』
年の暮れも近づき、外に出ると冷たい風が吹き付けた
腕を擦りながら、そろそろ雪が降りそうだな なんて考えながら空を見上げていると、後ろからパタパタと足音が聞こえた
銀「おいA!そんな薄着で外居たら風邪引くぞ!」
そう言うと彼は急かすように私の冷たい手を引く
″A、またそんな薄着で…風邪を引いたらどうするんです?″
その銀時の姿が、いつか見た顔をしかめて私に羽織をかける夫の姿に重なった
『ふふっ、』
銀「なんだよ?」
フワフワの頭を撫でながら笑うと銀時は怪訝な顔で私を見上げる
『いえ?松陽さんに似てきたな、と思いまして』
銀「そうか?親子でも何でも無いけど」
『そういうもんですよ』
銀時はよく分からなそうな顔をしたが、どこか嬉しそうに口許を緩めていた
桂「あ、先生!」
高「あっ、テメッ銀時!先生から離れやがれ!」
稽古を終えたのであろう二人と朧がこちらへ駆け寄ってくる
朧「姉様!外に出るときは温かい服を着てくださいと何度言ったら分かるんですか!」
いや、みんな心配性…
その日は結局、朧に押されてみんなでワヤワヤ部屋に戻った
ああ、幸せだなぁ
弟子達が皆、優しく強く育ってくれて
だからどうか、もう少しだけこの幸せな日々が続いてくれますように
たとえ、永遠では無いとしても
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??黒雪??kuroyuki(プロフ) - ありがとうございます!泣ける(?)かは分かりませんが、世界観しんどいです。頑張ります。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
七重 - (´;Д;`)おお・・・最新話泣ける(?) (2020年3月6日 17時) (レス) id: cdecf486aa (このIDを非表示/違反報告)
??黒雪??kuroyuki(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月8日 17時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
七重 - たまたまこの小説見たけど、めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月8日 15時) (レス) id: cdecf486aa (このIDを非表示/違反報告)
??黒雪??kuroyuki(プロフ) - いえいえ!読んでいただいてありがとうございます!同士がいてくれると嬉しいです! (2020年1月26日 20時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*雪之丞*yukinojyo | 作成日時:2019年6月16日 22時