百六十 ページ28
新「残念ながら、今のところ裏切り者になる気はないよ」
遥「…」
新「そんな睨まないでほしいな」
裏も表もない笑顔に、鳥肌が立つ。
この人のラスボス感は、出会った頃の三日月と同じくらいあると思う。
新「さっき、妹から連絡が入ったよ」
遥「連絡？」
新「1振り、戻ったそうだね」
その言葉を聞いた瞬間、体が熱くなるのがわかった。
新「君の本丸の刀は、限界値が低いようだ」
遥「…誰だ」
新「あまり興奮することはオススメしないね、霊力の制御が出来なくなる。ようやく戻ったんだろう？」
遥「答えろ！！」
張り上げた声に驚いて、まるこは尻尾を丸めて逃げていった。
でも、そんなの関係ない。
遥「誰が刀に戻った！！」
新「秋田藤四郎さ」
遥「っ」
新「それじゃ」
遥「待てよ…」
新「…」
遥「アンタは…いったい何が目的だ…何が目的で、こんな…」
新「…自分で、よく考えてみなさい。期待してるよ」
何も出来ない歯がゆさが気に入らなくて、アタシは床を殴った。
遥「…ごめん、秋田…」
＊
新「ただいま戻りました、最高司令官殿」
最高司令官「おかえり。…ねぇ、親子なんだし、そんな堅苦しい話し方しないでよぅ、父さん泣いちゃう…」
新「嫌です」
最高司令官「そんな笑顔で言う！？うぅ、最近息子達が冷たい…」
新「相変わらず、目が血走っていましたよ、彼女」
最高司令官「…ねぇ、やっぱり可哀想じゃないかい？こんな…」
新「我々は戦争をしている。物事は慎重に見ないといけません」
新「百聞は一見にしかず、ですよ」
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作者名：桜海 | 作成日時：2019年1月31日 0時
