九十三 ページ6
かれん「…と言っても、何から話せばいいのかしらね。よくわかんないから、質問してもらえる？」
一期「！」
鬼神丸「どうした？」
一期「…いえ、やはり、親子なのだな、と」
鬼神丸「？」
一期「…翼殿も、何か話して欲しいことがあれば、質問してと毎度言っていまして」
かれん「！…そう。そうなの」
一期のその言葉に、嬉しそうに微笑むかれんさん。
遥「じゃあ、なんで出てったの？」
かれん「んー…恋、しちゃったからかな」
遥「別に、刀剣男士との恋愛は禁止されてるわけじゃないじゃん」
かれん「なんて言うかね。私達が審神者の時は、最高司令官の人が厳しい人でね」
和泉「あれは厳しいんじゃなくて、汚ぇっつーんだよ」
奏「一体何が…」
かれん「刀剣男士と恋仲になっちゃうと、その人から直々にお話があるの」
その時和泉守兼定と恋仲になったかれんさんは、最高司令官に呼び出され、様々なことを言われたそう。
所詮人と刀だ、戦績に関わる、そんな事にうつつを抜かすな、と、そりゃあもうたくさん言われたらしい。
かれん「でね、最後に言われたの。無かったことにしろって」
遥「は？」
かれん「それで出てきちゃった☆」
舌をペロッと出し、ウインクを決めるかれんさん。
…あー、気抜けた、一気に気抜けた。
苦笑いしていると、かれんの頭に手刀が繰り出された。
かれん「いたっ」
和泉「ちげぇだろ。なんでアンタはそう柔らかく物事を隠すんだよ」
かれん「痛い…」
和泉「無かったことにしろ、さもなくば和泉守兼定をこちらで破壊する。そう言われたんだ」
奏「！」
遥「破壊…？」
和泉「だけど俺はこいつを手放すつもりは無かった。その気持ちを汲み取った国広が、上手く俺らを逃がしてくれたんだよ」
ふつふつと、怒りが湧いてくる。
だが一期は、別の方に怒りがいったらしい。
一期「ではなぜ」
かれん「？」
一期「ではなぜ、主殿を虐げたのですか。そこまで互いを想い合い、出来た子供を、なぜ自ら手放したのです」
その言葉を聞いたかれんと和泉守兼定は、とても悲しい目をしていた。
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作者名：桜海 | 作成日時：2018年10月13日 8時
