百九 ページ22
遥「陸奥守は？」
清光「物置。なんか探し物してるみたい」
遥「探し物？」
鬼神丸「拙者が見てこよう。先に本丸内を案内していたらどうだ？」
清光「元々そのつもり」
鬼神丸「そうか」
鬼神丸が去ったのを見て、清光は改めて2人に目を向けた。
清光「この本丸で起こったことは知ってる？」
かれん「いいえ。でも、翼がもう居ないのは何となくわかってるわ」
清光「そ。じゃあそれも話すよ」
かれん「ありがとう」
かれんさんが微笑むと、清光はピタッと動きを止めた。
清光「…笑い方」
かれん「え？」
清光「笑い方は、どちらかというと和泉守に似てるんだね」
和泉「！」
清光「良かったじゃん？パパ？」
パパという言葉に、思わず吹き出す。
遥「か、兼さんが…ぱ…ぱ…っ」
和泉「う、うるせぇ！」
一期「遥殿、そのように笑われては失礼…っぷ」
和泉「あんたが1番タチ悪ぃよ！」
かれん「ふふ、よかったわね、パパ」
和泉「なっ…かれんまで…！」
清光「はい行くよー」
＊
清光がアタシ達を連れてやってきたのは、やはり翼の墓だった。
清光「ここには、先代…主が、います」
清光は少し悲しそうな顔をした。
乗り越えたとはいえ、辛いものがあるんだろう。
かれん「…翼が…ここに…」
墓の前には新しい花が添えられていた。
毎朝誰かが変えているらしい。
清光「先代は…主は、短刀と外に出てる時に、大量の時間遡行軍に襲われて亡くなったんだ」
かれん「！…そんな…時間遡行軍に…！？」
清光「その事件がきっかけで、恋人の薬研藤四郎も折れた。ここには、主と薬研藤四郎が眠ってるんだ」
一期「…」
かれんさんと和泉守兼定は墓に手を合わせ、静かに泣いていた。
清光と一期の目が若干潤んでいるのは気のせいではないだろう。
遥「(…翼。大丈夫だよ。アンタは愛されてた。幸せもんだよ)」
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作者名：桜海 | 作成日時：2018年10月13日 8時
