nostalgic ２

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数日いても慣れることはなかった

忙しなく流れる人の多さの中、

帰り道へと繋がる駅の改札前で

私は行きと同じくガラガラとスーツケースを引きず

り、足を止めた。






最初に来た時はワクワクした気持ちで溢れていたの

に、今はもう心理的な閉塞感でいっぱいだ。








ユズ「Aっ…。」




足元を見ていた顔を上げると、いつも笑顔の親友が居

心地悪そう顔で近寄ってきた。






「ごめんね、仕事前に…。」





実は壱馬くんの家を黙って出たその後、もう時刻は朝

方だったけれど帰る前に喧嘩別れのようになってしま

ったユズにちゃんと謝りたくて、メールをしたのだ。





親友の答えは、午後からの仕事前で短時間になってし

まうが新幹線の時間が許す限り話そう、と言ってくれ

て今に至る。







「あの…私っ…、」

ユズ「ごめんっ！」





謝ろうとしたら、意外にもユズが頭を下げた。





ユズ「Aの気持ち…分かってるようで分かってな

かった。無理強いした言い方して…ごめんね？」






顔を上げた親友の顔は今にも泣き出しそうで、私も目

頭が熱くなる。






「ううんっ…、私もあんな強い言い方で言い逃げみた

いな態度とって、ごめんね…。」




ユズ「いやっ、今回は私がいけないから！」


「そんなことない！私の方が…、」






だけど、そこまで言って私たちは吹き出す。






「ふふっ、もう仲直りしたもんね。」


ユズ「そっ！もうこの話し、おしまい！笑」






やっぱり親友は、こうでなくちゃね。





ちゃんと仲直りができて嬉しい気持ちから、なんだか

照れ臭くてまた足元を見ていたら、






ユズ「どうだった？ライブ。」



ユズは期待に胸を踊らせて…というよりは、眉を下げ

て聞いてきた。






「うん…、凄かったよ。あんな大きな所で音楽聞くの

初めてだっ、」

ユズ「壱馬くんは？」






核心を突かれて、思わず言葉が止まってしまう。








会えたよ…。


それも素敵な時間を過ごさせてもらったんだ。



変わったようで変わらなくて、相変わらず優しくてカ

ッコよくて…。






「…会えなかった…。」





だけど、口から出た言葉は真逆のこと。




むしろ、嘘。





東京に来てから私は、嘘ばっかりついてる。

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