1.純白の罪人 エル ページ6
コツコツと靴の底が石畳みに当たる音がこだまする。罪人と断罪人の兄妹が白で塗りつぶされた空間を、ただ無言で歩いていた。
「この第2エリアは、だいたいが直線だからまっすぐ歩けば中央の癒しの間に着くからね。覚えておくといいよ」
「わかった」
背に高い兄のパーカーを握って、エルははぐれないように歩く。真っ白な光が目に刺さり、エルは目を強く何回も瞬いた。
しばらく歩いていくとエレの言った通り、曲がり角は1つしかなく直線の先に、今までの眩しい白が一瞬にして消え去り、ヒノキらしき木で構成された広い空間がぽっかりと口を開けていた。木の香りが心地の良い安堵感を誘う。
エルは、あたりをくるりと見渡し大体の構造を把握する。天井には、シャンデリアのようなランタンが吊り下がっていてオレンジ色の暖かい光を落としていた。この空間には電気は存在してないらしい。
「ここが癒しの間。なんだけど…おかしいな。罪人達がもう集まっててもいいはずなんだけど…」
頭を描いて苦笑するエレの顔を、エルはただ無表情に見つめていた。
「誰」
異質な気配を感じ、エルはとっさに後ろに退く。
その刹那、空を切り裂く音とともにエルの影に刃渡り30cmはありそうな銀色のナイフが深々と突き刺さっていた。エルは、そのナイフを訝しげに見つめた後、ナイフの飛んできた方向をピンクの瞳で鋭く睨む。その視線の先には大柄な青紫の男と、黒いローブを被った少年が薄暗がりの中に佇んでいた。
「おい、パールス。僕の妹に何をするんだ?それに、ここは戦闘禁止エリアだぞ」
「ハハッ、悪りぃな。つい手が滑ってな!」
口を大きく開け豪快に笑う、パールスと言う青紫の男にエレは困ったような視線を向ける。エルはその声の大きさに思わず耳を塞いでしまった。
「こいつの証言は嘘だエレ。僕もこの狼たちもちゃんと見てた。…僕は止めたから」
ガスマスクをつけていて表情はわからないが、黒い…いや、濃い紫のローブを羽織った男は狼を愛お
しそうに撫でながらため息を吐く。
「僕はクロノ・ウルヴス」
「…エル。エル・クローチェ」
チグハグな会話だ。エルもクロノも同じようなテンションで会話が弾むことも宜しくということもなかった。二人の様子を見てエレは眉を寄せながら笑ったが、すぐに気を取り戻したようで1つ大きく息を吐いた。
「ちょっと、順番が違うけど…紹介するよエル」
そう言うと、エレは指をパチンと鳴らす。その音は静かにあたりにこだました
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作者名:Frange | 作成日時:2017年9月4日 17時