1.純白の罪人 エル ページ7
その音が静寂へと吸い込まれる。すると、癒しを誘うものだった光は、あたりの闇を照らす者へと変わっていった。
次々と露わになっていく景色に、エルはアンニュイそうに開いている目を微かに見開く。
本棚に綺麗に並べられた本は階段を登った先にも続いていて、中央には大きな樹木が植えられている。その樹を囲うように配置されたソファーはとてもふわふわそうに見えた。淡水魚の水槽も片隅に見える。
「広い…」
エルはそっと感嘆の息を吐く。
そして、目を凝らしながら奥を見つめるとオレンジ色の炎に照らされて、男2人と女2人のシルエットが浮かび上がっているのが見える。あれが、この塔に幽閉されている罪人と断罪人なのだろうか。
「あぁ、今日は全員に集合をかけたはずなんだけど、最狂の殺人鬼が来るって言ったら、みんな怯え
て部屋にこもってしまったんだ」
「兄さん…サイキョウの"キョウ"はどんな漢字なの?」
エルは興味津々に問いかけると、兄はいたずらっぽく笑いながら「内緒」と人差し指を立てながら、短くウインクをしてみせた。が、眠そうなその目のせいかあまりきまってはいなかった。
「ふふ、兄妹で仲が良いのはよろしいんだけど、私たちの事忘れてません?」
「そうよぉ〜、アタシ達を呼んだのはエレでしょ」
奥のシルエットがゆらゆらと揺れる。その声の主は女2人で、どちらも呆れてるような面白がっているいうな口調で笑っている。
「そうだぜ、漆黒の断罪人とあろう人が妹に骨抜きにされてるなんてだらしねぇぞ」
「酷い言われようだな。僕の妹が可愛いのは事実だろう?」
そんなセリフを恥ずかしがる様子もなく言ってのける兄に、妹は呆れも通り越して何も感じてはいないようだった。パールスは、「まぁ、ブスではないな」とエレの問いかけに答えるとガシガシとエルの頭を撫でる。フードがずれているのを見て、エルは無表情にフードの向きを直す。内心、早く1人になりたいと思っているのだ。
「気を取り戻すのは何度目だ?…まぁいい。前にいる罪人と断罪人、名前を名乗った順に前に出てきて
くれ」
ため息とともに発せられた声に、一番左のシルエットが前に進みでる。
彼らの名前を覚えられるか、エルは心配でならなかった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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8
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作者名:Frange | 作成日時:2017年9月4日 17時