1.純白の罪人 エル ページ4
白いハマナスの花弁がちぎれるほどの雨だ
そこには、ボロボロになった花が佇んでいた。
辺りを茜に染めていた火は鎮火され、エルの顔の泥は雨で流されていった。顔の傷を残して
「…寒い」
エルはその小さな背にのしかかる疲労に耐えきれず、膝をつく。しかし、間入れずそのままばたりと倒れてしまった。雨が無常にエルを突き刺していく
瞼が重く、だんだんと暗くなっていく視界の中エルは、おもむろに空に手を伸ばした。その時、エルの手を微かな温もりが包み込んだ…。
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ふかふかとした感触を感じ、エルは薄っすらと瞳を開けた。痛いほどの白が視界に映る。
「目を覚ましたね、エル」
その聞き慣れた声を聞き、エルは顔を横に逸らす。そこには、黒い人影…エルの実の兄である エレ・クローチェが椅子に座りながらこちらを見ていた。
眠そうな瞳をしながら微笑む兄に、エルは一瞬安堵のため息を吐くと、ハッとしたように目を見開く
「断罪人…!」
「ハハ、エル覚えてないかい?君は負けたんだよ。
街一個壊滅させた恐怖の鬼ごっこにね」
「…」
悲しそうに笑うエレにエルは無表情に瞳を伏せた。
負けた…?確かに、あそこで気を失ったのは覚えているがその周囲に人の気配はしなかったはず。なぜ捕まったのかエルには分からなかった。
一通りに悩んだ後、エルは薄く口を開いた
「じゃぁ、ここは…」
「そうだよ【贖罪の塔】だ」
エレはエルの言葉を繋げるように笑うと、椅子からゆっくりと立ち上がり、その顔から笑顔の影を消す
「罪人エル・クローチェ。今からお前の罪状と逃れ
られない贖罪の枷をかける」
その言葉に反応するように、エルの心臓は小さく激しい鼓動をたてた。窓のない部屋に不自然な風が吹く。
「お前の贖罪は、消し去った笑顔をその顔に取り戻すこと。愛をその心に宿すことだ」
エレを中心に巻き起こるその風は、その言葉が途切れると同時に、エルに向かって吹き荒れた。心を冷たい腕で掴まれたような感覚が襲う。
エルの心臓に贖罪が刻まれた瞬間。
あっさりと来てしまったその瞬間を、エルはどうしても認める事が出来なかった。
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作者名:Frange | 作成日時:2017年9月4日 17時