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ある冬の日 ページ1
それは突然だった。
「私そろそろ主辞めたいんだけど」
いつもと変わらない凛とした声に、ベリアンは手に持っていたカップを落とした。絨毯の上に落としたので、幸い割ることはなかったが、中身が溢れてシミが出来た。
目の前の少女は、いつも通りまっすぐな目でベリアンを見上げている。
ショートボブの髪も、シャープな輪郭も、どこか中性的な目鼻も、小さな口元も、セーラー服もスニーカーも変わらない。
羽織ったオーバーサイズの上着のポケットに手を突っ込んでいるのもいつも通り。
「……主様、突然、いががいたしましたか?」
「突然って……前から言ってたでしょ?」
そう、この話は前からベリアンには伝えてあった。現在少女は16歳。もうすぐ高校2年へと進学する。そうすると、そろそろ次に進むための準備期間が始まる。
具体的には、大学受験や就職活動などが。
故に、天使狩りに協力出来る時間は減る。本人的にも友達との交流を優先したかった。
「新しい主、見つかった?」
残酷なまでに躊躇いがない主に、ベリアンは上手く息ができなかった。
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作者名:なるせ | 作成日時:2024年3月10日 17時