検索窓
今日:1 hit、昨日:149 hit、合計:11,389 hit

熱視線は躱すに限る ページ10

「えーと、そんじゃまァ明日。今日と同じ時間でいーんでしたっけ」

「はい。よろしくお願いします」


依頼人が住まうアパートの壁も、もう見慣れたもの。

今日は銀時だけが送迎で、新八と神楽は幕臣を騙る兄をどう追い返そうか作戦会議中だ。さっちゃんは仕事の合間を縫って来たらしいので、名残惜しげに天井裏に引っ込んだ。

それじゃ、と踵を返すと、控えめに呼び止められる。


「その……ありがとうございます。何から何まで……」

「あー…や、依頼なんで」

「こんなに気にかけていただいたのは初めてで……
本当に、ありがとうございます」

「いぃえぇ、そんな」


よそ行きの上擦った声でどうにか帰ろうとするも、ここで話は終わらないのか、あの、と接続詞の欠片がほろほろと溢れる。

よくよく見れば、頬紅でない朱が差しプラス3度くらい熱を孕んだ視線が銀時の足を縫い止める。

コレはあれだ。いつぞやの面倒な事件の前兆の似たようなものだ。

話はさっさと切り上げるに限る。


「こんなに、私のことで真剣になってくださって……」

「依頼なんでェ」

「あの女の子も、身体を張って囮になってくれるだなんて……」

「や、あのバカはいつもああなんで」

「本当に、感謝しきれないくらいです」

「……まだ、ストーカーってのは捕まってねェんで。それまでは、まぁ」

「ええ、はい。よろしくお願いします」


区切りが悪いが、とりあえず句読点は打てたのでそんじゃと来た道を返す。

背中に視線がグサグサ刺さるのが分かる。こういうとき、人の気配に敏感な己が恨めしい。


良くも悪くも、人を惹きつけるのが坂田銀時という男だ。

男も女も、何だかんだいってその存在を頭の片隅に置いている。人の中に居場所がある男なのだ。

それゆえ、要らんものも引き寄せてしまうことは多々あるが。幽霊とか。蚊みたいな天人とか。トラブルとか事件とか。



「……おっ」

「あ、おかえりなさい」


スナックの前を横切れば、ちょうど暖簾を掛けたAと鉢合わせた。護衛の依頼が入ってからはとんと目にしてなかったが、相も変わらず働き者のようだ。指先に巻かれた絆創膏は、先日お登勢が話していた裁縫の仕事の証だろうか。

銀時が一人でいるのを認め、きょろ、と眼球が動く。誰かを探しているように見えた。


「どーした」

「いや、えっと……今日はあの女性、いらっしゃらないんだなぁと」

「あの……?」

「最近いらっしゃる、綺麗な方です。

恋人の方かなぁ、と思って」

嘘を嘘だと主張するとまたまた〜って言われるの、なんかスゲー腹立つ→←男も女も愛を求めるストーカー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
837人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2024年3月27日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。