男も女も愛を求めるストーカー ページ9
件のストーカー幕臣の正体が、その兄。
三文ミステリ小説をなぞったような筋書きだが、その線が濃厚になってきた。
そして、さっちゃんから提供された情報もさらに疑惑を強めることとなる。
「大貞兼公ご本人は、確かに九州の温泉街に旅行に行かれてるわ。今日私邸を探ってみたけれど使用人も暇を出されてるのか、人っ子一人いやしなかった。
そのストーカーが、大貞兼公の兄君である可能性は十分にあるわね。役者をやっていたという舞台座に問い合わせたら、名前は違うけど同じ人相の人がいたもの」
万事屋の居間にて、ソファに正座しながらねりねりと納豆を練ってさっちゃんが報告する。
依頼人も同席し、事の詳細を把握した。よもや幕臣の名を騙るとは思いもよらなかっただろう。無理もない、顔が表に出ること自体かなり異例なのだ。松平や真選組、将ちゃんが特殊なだけで。
依頼人は幕臣にストーカーの冤罪を被せるだなんて、と青ざめていたが、そもそもは弟を名乗った兄が悪いのだ。依頼人に非はない。
「役者としての名前は長田 金烏。本名は大貞兼松野助。幕府直下の私塾じゃ首席を獲るほどの頭脳と謳われたらしいわ」
「そんな野郎がストーカーに成り下がっちまってるってのは、なんとも世知辛ぇもんだな」
「なんでも、家を継ぐ継がないでお家騒動があったらしいわ。松平公も噛んでるみたいだけど、詳細はまだ」
「あー、いい、いい。奴さんの知りてー情報は何もスキャンダルじゃねーんだわ」
「そうよね。そっちはいいとして、向こうがいつ出てくるかが問題だわ」
「僕たちが依頼を受けてから、件の人はまだ見かけてません。機を伺っているのかも」
「そんなの言ってたらいつまでも捕まんないアル。ネズミを引き出すにはとびきりのご馳走が要るネ」
「ご馳走? もしかして、囮ってこと?」
「神楽ちゃんのカワイイ魅力でイチコロネ。どんな男だってメロメロアル」
「メロメロっつーかお前の場合ゲロゲロだろうが。当たり構わず吐瀉物ぶちまけやがって、ぉえっ」
「ちょっ、思い出してえずくのやめてくださいよ!!」
口元を押さえる銀時から距離を置く新八。どさくさに紛れて足元に滑り込むさっちゃん、定春をモフり神楽ちゃん頑張るヨと意気込むチャイナ娘。ほったらかされた依頼人はぽかんと呆けていた。
自分のために、こんなにまでしてくれるだなんて。
幼い女の子は、己を顧みないで囮にまでなろうとして。
私の、ために。
女の心臓部に、ぼっと熱が灯った。
熱視線は躱すに限る→←キ○ドもル○ンも結構それなりに頭使ってるんだなあと思いました。アレ、作文?
837人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時