スナックお登勢の末っ子さん【坂田銀時】 (ページ5)

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なんにせよ、初期の設定は大事にしろページ5

「勘定方の大貞兼松太郎？ええ、知ってるわ。松平公の同期だもの」

「本当ですか、さっちゃんさん」

「今まで私がウソついたことある？それより、私はそろそろ銀さんとのデートの時間だから外してくれるかしら」

「記憶に無い約束持ち出すのやめてくんない？」

通りがかったのは、ご存知ストーカーくのいち、さっちゃんである。

本当にその辺を歩いていたので驚いた。大抵、銀時の頭上か床下か、壺か電柱か、人が入らなさそうなところにいるものなので。

ストーカーとはいえ元はお庭番衆の一人に名を連ねた猛者。幕府の情報など腐るほど持ち合わせている。それを部外者に漏らすのもどうかと思うが。

「でも、大貞兼公といえば愛妻家で有名よ。幕府の金庫はおろか、嫁の貞操さえもきっちり守ってるって」

「なんか生々しいな……

その、大貞兼松太郎を名乗る人がネイルサロンの従業員にストーカー行為をしてるそうなんです」

「変ねぇ、そんな人だったかしら。他になにか情報は？写真とかないの？」

「キャバクラ行ってるっつったな。お妙んとこの」

「ああ、『すまいる』？松平公がお気に入りだものね。付き合いで行くこともあるかもしれないわ」

「えぇ……奥さんのこと、大事にされてるんですよね？そんな人がキャバクラなんて行きますかねえ…」

「これだから新八は。男ってのはな、ときに嫁以外の若い女にちやほやされてぇのよ。家に帰れば給料少ねぇだの靴下臭ぇだのガミガミうるせぇ嫁さんに辟易して、ちっとでも笑顔と愛想振りまいて暮れる若ぇ姉ちゃんと過ごしてーもんなの」

「例えば私とかかしら。でもダメよ、ワイフも浮気相手も間女も私よ!!」

生真面目で給金には一切手をつけない。愛妻家で子には恵まれなかったが、慎ましく生活しているというお役人。

謎が深まるばかりだ。

「写真、写真かあ……『すまいる』にもしかしたら飾ってあるかもしれませんね。

バースデーイベントとかで撮ってるかも。姉上に聞いてみます」

「お、そーだな。その王○治が映ってっかもしんねえしな」

「いや、大貞兼さんですよ。誰も野球界のレジェンドの話はしてませんてば」

緩くツッコミを入れて、さっちゃんが銀時にぶん投げられ、そうこうしているうちに依頼人の退勤時間に差し掛かる頃合となった。

狂死郎と八郎は知らぬ間に店を出ていたらしく、店内に男の姿はついぞ見られることは無かった。