スナックお登勢の末っ子さん【坂田銀時】 (ページ29)

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厨房担当フル活動ページ29

「A、そろそろあんたも食べな。この後もたないよ」

「あっ、はい。これやってからにします」

「新八様、お待たせしました」

「あ、ありがとうございます」

トマトやパプリカはどうやらマリネにするらしい。以前雑貨屋の先輩にレシピを教えてもらい、今は試行錯誤している最中だという。

真剣に物事に取り組む姿勢は悪くないが、自らを疎かにするのはいただけない。腹を満たしたお登勢が席を立ち、末っ子のためにスペースを空けた。キャサリンは相も変わらず食卓を荒らすばかり。この女に年功序列という言葉は存在しない。

「ウマッ。これごっさ美味いアル!!! 銀ちゃんこれ食べてヨ!!」

「わーったわーった。なに？それ」

「ふりかけアル!! 小松菜○のふりかけヨ!!」

「小松菜な。誰もスダマサの嫁の話してねーから」

「ちょっと、なんでこっちを見るんですか。羨ましいとか思ってるけどいいじゃないですか」

「お前にはまだ先の話だな。100年後とかか？」

「運巡ってこなさすぎでしょ!! 僕の恋愛運はハレー彗星！？」

「いやいや、ハレー彗星の方がまだ見られる確率あるよ。どっちかっつーとティアマトじゃね？」

「街滅んでんじゃねーか!! 僕の恋愛運ってそんなに絶望的なの！？」

「んなに悲観的になんなよ。希望はあるだろ、100年後に」

「あるかァア!!!! 見てろよ今に彼女つくってやるからな!! こんな天パより素敵な彼女つくるからな!!」

「てめっ、ちょっとストレートだからって調子こいてんじゃねぇぞ!! 世の中にゃ天パが好きって女もいるんだよ!! たぶん!!」

「それこそ希望的観測だろーが!!」

ぎゃいぎゃいやかましい男共を横目におかずを確保する神楽。負けじと取り分ける大前家の男たちと、意外にも胃に余裕がある女子たち。末妹はさすがにお腹いっぱいなのか、ご馳走様をして箸を置いた。

Aの分も残しとくんだよとお登勢が忠告するが、既に半分以上は平らげられている。やべ、と全員が思った。キャサリンは例外だが。

「わ、みんな結構食べてる。どう、足りてる？」

「足りてる……っつか、姉ちゃんの分あんまないかも…」

「いいって。姉ちゃんそんなに食べられないから。

それより、ピーマンの煮浸しできたんだけど食べる人ー？」

「｢｢はーーい!!!｣｣」

どうやら今日も冷蔵庫大整理の日らしい。厨房から出てきたたまはオクラの唐揚げとコロッケを新たに並べていく。

しょうがないねえ、とかぶき町の母親はほくそ笑んでいた。