いつもお世話になってますっていうけど、むしろお前はこっちが世話してる方なんだよ ページ24
「それで、連れてきたってわけかい」
「すみません……」
「いいんだよ。本来なら子どもが入るようなところじゃないが、営業前だしね。姉貴が働いてるところに挨拶したいだなんて、いい子たちじゃないか」
「いえ、たぶん物珍しさだと思います……」
まだ暖簾が掛かっていない『スナックお登勢』にて。
普段の客層よりもだいぶ平均年齢が低い来客に驚いたが、そこは女帝。取り乱すこともなく、小さいお客にジュースを出した。このスナックの厨房の主ことAの弟妹と聞き、顔立ちがやたら似ているのはそのせいかと納得した。
「姉がお世話になってます」と開口一番に挨拶した長男をはじめ、物珍しげに店内を眺める次女やそわそわして落ち着かない次男は揃ってテーブル席に座らせた。同席している万事屋のチャイナ娘はさっそくメシをねだり、新八に宥められ眼鏡が吹っ飛んだ。
他に妹たちがいると聞いたがどうしたのか尋ねると、なんと銀時について行ったとのこと。そんなに慕われているのかあの天パはと煙草を吹かすが、どうやら目的は別にあるらしい。
あの天パは解散のタイミングで競馬に直行するということで、新八が「また馬かよ!!」と怒ったところで末っ子が反応した。どうやら馬という単語に惹かれたらしく、銀時について行くと聞かなかった。馬と触れ合えるわけじゃないんだよ、と諭しても聞く耳持たず。普段ここまでわがままを言わない末妹にとうとう姉が折れた。
とはいえ、沙代だけでは心もとないので長男がついて行こうとしたが、じゃんけんの結果で美菜が同行することになった。ちょっとそわそわしていたところを見るに、同じく馬に惹かれたのかもしれない。
ということで、かなり早い競馬デビューである。社会勉強にしては渋すぎる。
「お馬さんには乗れないんだよって何度も言ったんですけどねえ……」
「ま、いいんじゃないのかィ。この辺りじゃ子どもが遊べるような場所なんざありゃしないんだ。動物見て楽しむくらいがちょうどいいさね」
「競馬ですけどね」
カウンターで燻らせた紫煙を追いかけていると、壁掛けの時計と目が合った。そろそろ仕込みを始める時間だと、髪をまとめ直す。
厨房に入った背中を、がらりと来客を知らせる音が追いかける。はしゃぐ声から察するに末の妹たちだ。銀ちゃん!! と高らかな神楽の声も聞こえる。
はて、それにしては銀時が静かだ。そろ、と顔を出してみると、見事なまでに赤い瞳をかっぴらいていた。
「女神が、いた……」
あてっこゲームは大人も子どもも好きなもの→←知ってる肩書き、知らぬ関係
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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時