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事の顛末は簡潔に ページ16

その後、弟の大貞兼松太郎を騙った兄は詐欺罪と迷惑防止条例違反、更に男によって来店を遠慮していた客が複数名いたことも有り威力業務妨害などの罪で逮捕された。念の為、山崎に連絡を取り礼状を発行してもらっていたため、真選組の手柄にもなった。

事情聴取にて、依頼人との仲を恋人同士だ、交際関係にあたるなど当たり散らしていたが、確固たる証拠があるので言い逃れはできない。偽名を使って始まる恋などろくなもんでもない。

また、なぜ弟の名を騙ったのかというと、単純にその方がウケがいいという理由だった。

舞台役者といえど、それなりの年嵩の割に与えられる役は無名なものばかり。群衆の一人しか演じられないのでは名が売れるはずもなく、舞台座に(のぼり)が上がらないのがその証拠である。さっちゃんがわざわざ問い合わせたというのも頷ける。

幸いにも、幕臣たる弟は表立って顔を出してはいない。ならばと名刺を掠め取り、舞台衣装から質のいいものをくすね、貯めに貯めた金子をキャバクラで使った。金に関しては知識があったので、株やら何やらで増やしていた。手付かずの金はいつの間にか、8桁を越していたらしい。ちなみに、この自供で盗難の罪が重ねられた。

そうして金を使い、若い女の子に鼻の下を伸ばすうち、一人のキャバ嬢に目を向けた。聞き上手で話が上手い。ドンペリやら高い酒をねだることはなく、お客をお客として接する彼女に好意を抱いた。

そこからは依頼人が話した通り。キャバクラを辞め、ネイリストとして働く彼女を付け回し、いつしか好意は交際の妄想を生み出した。事実でない事実を勝手に生成した男はやがてストーカー行為に走り、今日までに至る。


「ということで、大貞兼松野助は御用となって複数の罪状で逮捕。家族からは勘当されてるっていうから、拘置所は免れられませんね」

「てことは、奴さんはしばらくお天道様の下を歩けねぇってわけか」

「ええ。大貞兼公はそれはもうご立腹で、自分への侮辱罪も追加してくれとのことでしたよ。ご実家に通達しても『うちとは無関係だ』の一点張りで、保釈金は期待できませんね」

「それなら、示談金とかは……」

「資産は差し押さえ。弁護士も立てられないし、完全に見放されたね。

たとえストーカー行為が立証されなくても、余罪はまだある。向こう半年か1年は出られないよ」

「よかった……」


これでもう、男に怯える生活を送らずに済むのだ。

ようやく、胸を撫で下ろせる日が来た。

契約金は念書に記すべし→←恋と執着は紙一重



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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pillow | 作者ホームページ:   
作成日時:2024年3月27日 8時

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