スナックお登勢の末っ子さん【坂田銀時】 (ページ13)

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いざ、作戦決行のときページ13

「来た!! 来ましたよ、例の男です」

「間違いねえな？ちゃんとよく見ろよ」

「よーし、神楽様の出番アル。奴の金○潰して再起不能にしてやるネ」

「やりすぎんなよ。下手したらこっちがムショにぶち込まれんだからな」

「お店の前、うろうろしてますね。中を伺ってるのかな」

夕刻。

ネイルサロンの前で右往左往している幕臣風の男を認め、万事屋一行は建物の影から様子を伺っていた。

決着は本日。なんたって依頼期間の終了日が近づいてるので。

伸ばせば延長料金が発生するので、万年金欠の万事屋は本来はそっちの方が有難い。が、依頼は依頼なので片をつけた方がいいのは至極当然のことだ。

作戦としては、いつもの通り万事屋メンバーが依頼人を迎えに行く。帰る道中で厠に行くなどの適当な理由をつけて一旦依頼人から離れ、幕臣もどきが話しかけてきたところを捕縛する。

最初は依頼人一人で途中まで歩かせる、というものだったが、さすがに急に一人は不自然さが出てしまい相手に勘づかれる危険性があること、依頼人自身のまだ少し怖いという主張もあり、こうした流れになった。3人は多いので、ジャンケンで同行者を決めた。ちなみに銀時だった。適任とも言える。

依頼人の退勤時間より少し早めに通用口に赴く。従業員専用のそこは裏通りに繋がっているため、表からは見えにくい。現に、店内を覗こうとうろうろしている男からは銀時の姿は見えていない。

退勤時間になり、数分して依頼人が出てきた。一応、銀時が男の様子を伝えると、唇を引き結んだ。

「ほんじゃまぁ、行きますか」

「あ、あの」

「んぁ？」

きゅ、と。着流しの袖をつままれた。腕を組むまではいかないが、唐突な接触に銀時の気だるげな眼が1ミリほど開く。

依頼人は指先を離れる余裕はないようだ。仕方ねーか、とそのままにさせておく。

行きますけどいーっすか、というだるそうな声にはっとして、こくんと頷いた。伏せられたまつ毛はふるりと震え、女のかんばせに影を落とす。上目遣いでもされたら男は落ちるわな、と他人事のように思った。

袖は掴ませたまま、表に出る。建物の物陰から赤毛と眼鏡が見えた。小さくピースして、2人分のサインが返ってきた。作戦開始だ。

「いやぁ、それにしてもネイルサロンって大変っすねぇ。爪っつっても色んなのがあるんだな」

「え、あ、えぇ。ジェルネイルとか、ポリッシュとか色々、お客様によってはこだわりがありますから」

「へー、そうなんすね」