嘘を嘘だと主張するとまたまた〜って言われるの、なんかスゲー腹立つ ページ11
こいびと。
恋人?
今、この娘はなんと言った。
あの女性というのは十中八九依頼人だろう。元キャバ嬢というだけあってそれなりに容姿は整っているし、ネイリストという仕事柄か身綺麗にしている。そんな女性が傍らにいれば、男女の仲だと勘違いしてしまうこともあるだろう。
いやいやいや、違う違う。決してそんなんでは無い。
「や、あのー……違ぇから」
「はい?」
「いら、依頼人だから。ストーカーの被害にあってるっつー、アレで。彼女じゃねェから」
「あ、そ……そうなん、ですね。てっきり、銀時さんの恋人の方かなって…」
「ちげーって。そんなんじゃねぇから」
「ああ、うん。……はい、」
「そういうことだから」
何を弁解してるのだろうか。
誤解されたくないからといって、こんな言い訳めいた御託を並べるような人間だっただろうか。
違うからと否定すればするほど、まるで嘘が真実かのように伝わってしまうかと危惧したが、Aはきちんと飲み込んで、うんと頷いてくれた。
良かった、と胸を撫で下ろす。
胸を撫で下ろす?
何故?
待て、誤解されたくないってなんだ。
つーかなんでわざわざ否定してるんだ。
どうしてそんな、まるで勘違いされたくないみたいな___
「言ってましたもんね。みんなの銀さん、ですもんね」
「あ……あー、そうそう。ホラ、俺一応主人公だから。他の奴らとはフラグ立ったら気まずいっつーか」
「うん、はい。分かってますよ」
モテないモテないと嘆いていても、女たちから送られる秋波は銀時にとって厄介なものばかりで。
誰のものにもならないという意味合いで『みんなの銀さんだから』という建前を言い触らしていたのを思い出した。それをなんの気なしにぽろっと言ったのを覚えていたのだろう。有難いような、複雑なようで。
「それより、お前また色々手ぇ出してんだって? 長着作るってババアから聞いたぜ」
「えっ、やだ知ってるんですか?」
「器用なモンだって褒めてたぜ。今度どんなんか見せてくれや」
「えぇ……下手の横好きですよ。素人が作ったものですし」
「いいじゃねえか。減るもんでもねーし」
「閲覧料取りますよ」
「おいおい、知り合い料金てことにしてくれや」
「どうしよっかなあ」
けたけたと笑うAにつられ、銀時の頬も緩む。
それじゃあ仕込みがあるので、と店内に入る簪を見送り、階段に足をかけた。
何故だろうか。
安堵と同時に、靄が纏わりついた感覚がした。
数打ちゃ当たるで勝てるほど世の中甘くない→←熱視線は躱すに限る
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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時