スナックお登勢の末っ子さん【坂田銀時】 (ページ1)

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閑古鳥もときには休息が要るページ1

万事屋というからには、依頼はペット探しから人助け、買い物代行や事務仕事など多岐に渡る。

そして、夜の街として名を馳せるかぶき町に居を構えていれば、こうした依頼もざらにあるのだ。

「最近、お客さんから付きまとわれている気がして……」

久しぶりの依頼人は、若い女性だった。お妙からの紹介で来たというその人は化粧っ気はないにしても、それなりに人目を惹く容姿をしていた。

仕事はネイリストで、かぶき町の一角にあるサロンに勤務しているという。ただ、お客さんというのは男性で、ネイルサロンに通う客ではない。

ではどんな繋がりかと聞かれると、前の職場がお妙と同じキャバクラであり、そこで常連として来店していたお客とのこと。

キャバクラを辞めて半年以上経つが、どこで今の職場を突き止めたのか。退勤を狙って食事に誘おうとしたり、ときに強引に肩を組んできたり。酷いときには、家の近所をウロウロしていたらしい。

典型的なストーカーだが、奉行所は実害がないと動いてくれない。そのことを元職場の同僚たるお妙に相談したところ、弟が働く万事屋を紹介されたとのことだった。

「その男性は、ご職業は何をされてるんですか？」

「確か、幕府の勘定方に勤めていると……以前、名刺を頂いたので覚えています」

「その名刺は、今も持ってますか？」

「はい。こちらに」

差し出された名刺には、確かに勘定方の部署、名前、役職に電話番号が明記されてある。
が、これが偽物である可能性もあるため、後ほど地味仲間(やまざき)に照合してもらおう。

依頼の内容は、ストーカーがいなくなるまで恋人のフリをして欲しいというもの。そうなれば、必然的に対象は絞られる。

が、恋人のフリではなくボディーガードとして、という内容に変更した。関係性を変えても周囲からの見え方には相違ない。構わないか、と尋ねて、不思議そうな顔をして頷いた。

「んじゃ、ストーカーがいなくなるまでっつーことで、期間は2週間。それ以上は延長料金かかりますんで」

「はい。よろしくお願いします」

こうした、若い女性が何かと理由をつけて銀時に恋人のフリをさせることは何度かあった。別れた元恋人、この女性のようにストーカー、勤め先の店長など、若いと女性というだけで狙う輩は多い。

神楽は妹にしては毛色が違いすぎるし、新八もそれなりに腕に覚えはあるが、やはりそれなりの年齢が求められる。そうなれば、銀時に白羽の矢が立つのは当然のことであった。