白昼堂々としていればどんな人間でも大抵その場をやり過ごせるもんだ ページ6
さて、それから数時間が経過した。
時折悶着はあれど、真選組が出張るような場面は見当たらない。
交代の時間も迫っているため、土方がキーを挿し込もうとした。
そのときだ。視界の端に映りこんだ、ある男を捕らえたのは。
「っ!!」
「土方さん？ どうかしたんですかィ、新種のマヨネーズでもありやしたか？」
「今のは……まさか、」
「おーい、何勝手に一人で芝居こいてんでさァ。トモエ3000に代わる雌豚でも見つけたんですかィ」
「総悟。今書店に入ってった男見たか。臙脂色の着物に紺の羽織り、背丈は入口の棚の上から二段目と同じくらいだ。べっ甲のフレームの眼鏡をかけた優男」
「べっ甲の……あァ、もしかしてアイツですかィ。鶴森のヤマで桂や旦那を手引きしたっつう」
「【天狩りの鷹】だ。本人ははぐらかしちゃいたが、間違いねぇ」
「こいつァいいや。このままフケようかと思いやしたが、思わぬ大物と一発やれそうなら来た甲斐があるってモンでさァ」
「総悟、車見張ってろ。俺が行く」
「いやいや、アンタ顔割れてんでしょう。だったら俺が行った方がまだ警戒されやせんぜ」
「ンなでっけぇバズーカ持ってたら誰だって警戒するわ!! 何しようとしてんだテメェ!!」
「やれやれ、冗談の通じねえ土方さんでさァ」
「テメーの冗談は常軌を逸してんだよ!! 自覚しろッ!!!!」
上司の小言で相棒は車内に置いておくことにした。そもそも、ただでさえ人が多い書店なのにごった返すほど溢れかえっているのだ。背丈ほどある得物はかえって邪魔になる。
とはいえ、帯刀した隊服姿というだけでも存外効果があるらしい。店頭に屯している客は沖田の顔を見るなり、さっと道を空けていく。まるでモーセの海割りだ。
はいちょっとごめんね、と軽々しく口にすれば、沖田さんよ、と頬を赤らめる妙齢の女性から、真選組だ、と恐れを隠そうともしない町人の呟きが鼓膜に拾われる。
店内をきょろきょろ見渡しても、人、人、人だ。どれも似通った服装ばかりなので、【鷹】一人探すのにも相当苦労する。
人質でも取りゃ出てくるかと物騒な発想が浮かぶが、それは敬愛する近藤の顔に泥を塗ることになる。一旦保留にしておいた。
「……あ、」
いた。
あっさりと、いた。
文庫本コーナーにて何かを探している様子の男は、かつて写真に収めた容姿そのままだ。
コツ、と革靴がフローリングの床を叩く。それに反応してか、背表紙を撫ぜる指先がぴく、と一瞬止まる。
「……ビンゴ」
迫る監察、暴かれる昔話→←オタクが本当に欲してるのは、登場人物が実際に使ってたグッズとかそういうもんなんだよ
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スミカ - 物凄く面白いです。高杉との絡みが最高に好きです！決して行き過ぎたチートじゃないとこも好きです。応援してます (4月13日 17時) (
レス) @page19 id: daf320e252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2024年2月17日 21時
