深夜テンションには長く続くが昼間のテンションはいつも低い ページ20
桂が風呂から出たのはそれから30分ほどだった。
さすがにこの時間に追い出すのは忍びなかったので、客間にあった布団を敷いてやり寝床をつくった。もちろん清水とは別室である。
だというのに、
「……なんで布団こっちに持ってきたの?」
「深夜の泊まりといえば宇野に決まっておろうが。ほら、お前の手札だぞ」
「やるともやらないとも言ってないんだけど」
だが、正直ありがたかった。春雨やら鶴森の件やらを考えてすっかり脳が醒めてしまい、寝付ける気分ではなかったからだ。
カードの山を挟み、手札を手元に置いた。いい手とは言えなさそうだが、展開次第でどうとでもなる。
桂が札を出してスタートした。赤の3。
「懐かしいな。昔はこうしてよく皆で札遊びをしたものだ」
「そうだねえ。人数多すぎて札回らなかったりしたよね」
「スキップで何度も飛ばされた銀時の手札が減らなかったりしたな」
「坂本さんは強かったよね。ドロー4連続で出たときには正直負けたと思ったよ」
「あいつは運だけいい。頭が空なせいでいつもビリから数えた方が早かった」
「とはいえ、天性の運の持ち主だよ。はい、宇野」
「なにっ!?」
セコい手でも使ったか!? などと喚くが、同じ色のカードが連続でくればどうとでもなる。途中別の色を挟んだものの、ほぼ清水の勝ち確であった。
桂も負けじとカードを出すが、ドロー4を出したのが運の尽きだ。
「はい、ドロー4。上がり」
「なんだとォ!? ちょっ、もう1回!! もう1回やろう!!」
「いいよ。はい、札集めて」
宇野はそのまま5回戦まで続き、桂の頭がゆらゆら揺れ出した頃に終わりにした。
清水が2勝、桂は3勝。清水としては全負けではなかったので充分だったが、桂としてはダブルスコアを狙いたかったらしい。よく分からないこだわりがある男だ。
そのまま目を開けて寝始めたため、札を片し横たわらせて毛布をかけた。相変わらず器用に寝る。目は乾燥しないのだろうか。
「おやすみー……」
ぱち、と人工の明かりが消失する。月の光だけが頼りになるこの時間は、かつても今も呼吸が穏やかになる。
桂をまたいで自分の寝床に辿り着き、眼鏡を外して布団を被った。誰かが隣で眠るのは、随分と久しい。
きっと、銀時くんなら甘い息を吐き散らかすんだろう。
坂本さんは寝言も大きいから、寝つくのに苦労しそうだ。
高杉くんは、静かに眠る人だった。自分と呼吸のリズムが似ていたからか、ひどく寝やすかった。
手土産は自分に出されるかもしれないから余分に買っておけ→←ガス代と水道代と入浴剤の代金はまとめて請求されました
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スミカ - 物凄く面白いです。高杉との絡みが最高に好きです!決して行き過ぎたチートじゃないとこも好きです。応援してます (4月13日 17時) (レス) @page19 id: daf320e252 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年2月17日 21時