一寸先に鷹の翼【銀魂】

ガス代と水道代と入浴剤の代金はまとめて請求されました ページ19

「かのハーメルンは原材料ごと処分されたそうだ。己の国を蝕む輩なぞ、幕府も懐に入れたくなかろう。

これでまたひとつ、国の夜明けに近づいた。恩に着るぞ、清水」

「……あのさ、桂くん。


それ、風呂に入りながらじゃないとできない話だった？」


またもや勝手に風呂に入る桂と、寝間着の清水が湿気立ち込める浴室に集ったのはつい先ほどの話である。

時刻は深夜真っ只中。自分以外の気配を感じて起きてみれば、雨に降られてそのまま辿り着いたのか勝手に風呂を沸かして入浴する桂と遭遇した。髪を纏め、のんびり肩まで浸かっている同門の顔面に風呂桶を叩きつけたのは間違っていないと思う。そして勝手に入浴剤が放り込まれていた。気に入っていたのに。

雨に降られて雨宿りするにも隠れ家が検挙され、行くあてもないので来たと宣う男を沈めてやろうかと思った。

清水邸に来たのは風呂もそうだが、再会したあの事件の進捗についても話したいことがあったからだという。ならばせめて玄関から普通に入ってきて欲しかった。


「天人の幕臣は故郷の星に強制送還。向こうの法律で裁かれるらしいね。寿命が短い種族だからか、齢が長い個人を崇拝する傾向にあるから長命な彼に厳罰は下らないだろうってさ」

「とはいえ、奴は地球における全ての権利を失った。入国管理局ではブラックリスト入り、幕府では一切の情報が消されたという」

「だろうね。自分の国の人間攫おうとしたんだ。当たり前だよ」

「となれば、春雨やら犯罪組織と手を組む危険性も考えられる。用心するに越したことはない」

「春雨ねえ……」


健康食品のような名前だが、実態は宇宙を股に掛けて活動する大規模な犯罪組織だ。複数の種族が在籍し、特に第七師団は夜兎族で構成されていると聞く。

他にも、宇宙三大傭兵部族の辰羅、荼吉尼をはじめとする戦闘種族、表立って活動はないが資金源のために詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪を主とする師団もあるとか。

いつぞや、鬼兵隊と春雨が手を組んだと聞いたときは肝を冷やした。鬼と悪魔がキャンプしてチークダンスを踊るようなものだ。さらにキャンプファイヤーには生贄を添え悲鳴をBGMにして肉を食らい、髑髏の盃とかで酒を飲んでいるのだろう。何を言いたいかと言うと、洋画と邦画の悪役キャラが大集結したようなものだ。誰も呼んじゃいない。スーサ○ド・ス○ワッ○よりもタチが悪い。


「ジョーカーが来ないように祈るしかないか」

「なんだ、ババ抜きの話か？」

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