一寸先に鷹の翼【銀魂】 (ページ17)

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本当に強いのは力でも頭脳でもなく、兵糧攻めに耐えうる農家である。ページ17

主役が月に成り代わる。

縁側でごろ寝していたせいか、気がつけば筋肉がそこかしこで悲鳴を上げていた。腹も減ってきたので、なにか適当に食べようと腰を上げる。

鹿嶋から頂戴した野菜はまだ水分をたっぷり含んでいるが、抜けきらないうちに早めに食べてしまおう。背に般若を携えた彼は攘夷戦争でも類の見ない恐ろしさを孕んでいた。百姓貴族とはよくいったものだ。

トマト、キャベツ、じゃがいもと人参、玉ねぎを取り出し適当に切る。じゃがいもは皮剥きが面倒で、毎度剥き残しがあるのが難点だ。芽を取るのも非常に面倒臭い。一度ピーラーを滑らせて指先をさっくりやったときは、もう二度とピーラーなぞ使うものかとへそを曲げたものだ。今はもうその誓いをあっさり破っているが。

じゃがいもはレンジで加熱。人参も同様に。土の中で生きた野菜はそれなりに硬いので、ある程度熱を通した方が調理しやすいと習った。誰にって？テレビです。

鍋に油を垂らし、そこに満遍なくまとわせる。火をつけて、玉ねぎから炒める。ここでしなしなになったピーマンの存在を思い出し、急遽参戦することにした。

トマト、キャベツと入れてそれなりに火が通ったところでじゃがいもと人参も入れる。ピーマンも入れてざっと混ぜ、塩胡椒を思ったより3倍振り撒く。野菜が浸かるまで水をぶち込み、あとは弱火で10分ほど煮込んでコンソメキューブを投げ入れて完成だ。

冷凍ご飯を解凍し、何か肉か魚はないかと探したら塩鯖があった。フライパンでじゅわっと焼けば、脂の乗った一品が完成する。魚焼きグリルもあるにはあるが、一人暮らしでわざわざ使うことはなかろうとしまいこんでいる。

さて、いただきます。

「ん……美味しい。さすが鹿嶋家の野菜」

思わずコメントが漏れ出る。鹿嶋の野菜は地元の八百屋やらサービスエリアやらで売りに出されるほど質がいい。形が悪かったり、規格外のものは処分するか他所の家に譲るか、身内の関係者に送られることが多い。ご相伴に預かることができた清水は満足である。

適当飯を食べ終えて、風呂を沸かす。乾いた洗濯物を畳み、なんか袋はないかと探してみると丁度いい塩梅のものがあったので、それにしまい玄関に置いた。

あとは菓子折りはないかとあちこちひっくり返すも見つからず。これに関しては仕方ないので、明日辺りに馴染みの和菓子屋に行くことにした。何時ぞやか、万事屋に差し入れた羊羹の店である。

風呂が沸くまであと数十分。食器を桶に入れた。