お手をどうぞ ページ24
さて目当てのものを買って、とここで気づいた。
外に干しっぱなしだった洗濯物だ。
なんで傘は覚えてて洗濯物は忘れるんだ。アホか。
いやでも、干してるの下着だしな。ただのボクサーだし。他にもあるし、いいか。
ちなみに、なぜ下着のみを干しているのかと聞かれれば察して欲しい。男の事情である。
ゆったり歩いていると、前方にふらついた女性の姿が見えた。足元が覚束無い様子で、頭が下がっている。
大丈夫だろうか、と心配していると突如膝をかくんと曲げて倒れ込む。周囲の人は、なんだなんだと女性に目を向けた。しかし、声をかける様子はない。
薄情だな、とは思うが同時にその態度も頷ける。ここでもし、彼女の知人が来たら。そしてその知人が厄介な人だったら、と思うと踏み出すに踏み出せないのだ。その厄介な人には、幕臣も含まれる。
だが、かつて幕府を相手取った者ならば少しばかり度量は違うだろう。清水は手を差し伸べた。
「お姉さん、大丈夫？」
「ぁ……いえ、その、立ちくらみがして……もう、大丈夫なので…」
「顔、青いよ。血色も悪い。出勤か何か？」
「え、えぇ」
「それなら、先にそっちに連絡した方がいいね。携帯電話持ってる？」
「いえ……あの、どうぞお構いなく…」
「ああ、僕『お構いなく』って言われたら緑茶と茶菓子出すタイプなんだ。気にしないで」
「あの、本当に……」
「それとも、僕の手助けじゃ不足ですか？」
困惑気味の彼女を伺うように見れば、漸く手を握ってくれた。助平心など皆無だ。
勤め先はかぶき町のキャバクラで、今日は早番という理由で昼の出勤だという。
まだオープンはしていないが、掃除やフードメニューの担当は新人の役目らしい。夜の世界に浅い清水にとっては新鮮な話だ。
連日働き詰めなのかと聞くと、そうではないと返された。オンナノコの事情に明るくはないが、なんとなく察した。
かぶき町の一角にある『スナック すまいる』という店が彼女の勤め先らしい。
なんとなく既視感を抱いていると、店内から紫の着物を身にまとった女性が出てきた。
「あなた、よかった。なかなか来ないから、みんな心配してたのよ」
「ごめんなさい、お妙さん。来る途中で体調が悪くなってしまって…」
「なら、店長に言いましょう。私も付き添うわ。
体調が悪いのなら、連絡くれればいいのに……」
「携帯電話、置いてきちゃって……この方が、連れてきてくださったんです」
「まぁ、貴方が？」
「ええ、はい」
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うす - 更新ありがとうございます…！この作品が大好きです応援してます！ (9月19日 22時) (
レス) @page50 id: d6b5e366a4 (このIDを非表示/違反報告)
oyz031(プロフ) - とても面白く、興味深いお話で続きが気になります。応援しています (8月30日 0時) (レス) @page49 id: 7ddb3de917 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ - いつまでも更新お待ちしております、！ (5月21日 18時) (レス) id: c35eeb83bd (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 最近めちゃくちゃ更新されてますね！すごく楽しみにしてるので嬉しいです！無理のない範囲でこれからもお願いします！ (2023年4月22日 20時) (レス) id: 19052b8914 (このIDを非表示/違反報告)
モブ - ものすごくこの小説が大好きです！次の話に進むたびドキドキしてしまいます...!!! (2023年3月24日 2時) (レス) id: 24c7afdf4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pillow | 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月1日 15時
