情報屋、マダオ ページ5
「子どもの失踪事件? あー、最近よく聞くねぇ」
ところ変わって、かぶき町の一角にある公園。
その隅っこにあるゴミ、もといダンボールハウスに住まう不審者の元へ銀時は赴いていた。
今はそんな見る影も無いが、元入国管理局局長、現マダオの長谷川泰三である。
浮浪者として住所不定無職な長谷川は、どこからか情報を仕入れてくることがままある。ガキといった公園だろ、という安直な推理で足を運べば、半ば遠さげられるように生息していた。
件の失踪事件は長谷川も知っていたようで、ちょくちょく話を聞くのだという。
「なんだっけ、飲み屋の親父の姪っ子がある日を境にいなくなったんだと。んで、寺子屋に連絡したんだけどいないって言われて、そこから発覚したらしいんだよね」
「ふーん。で戻ってきたの?」
「それがサッパリ。しばらく親父んとこ行ってねえしなぁ」
「んだよ、ここぞというときに使えねーな長谷川さんはよ」
「なんだよ、俺だって毎日飲めるもんなら飲み歩きてーわ!!
で、なに。それと似たようなことがここらで起こってんの?」
「まぁな。ここ毎日似たような依頼でよ。奉行所は門前払い、チンピラ警察は専門外だってよ。ケッ、どの面下げて公僕名乗ってやがんだ税金泥棒集団が」
悪態をついて手元のジュースを酒のように煽る。長谷川も苦笑いで煙草に火を点けた。ここ最近はライターの調子が悪く、喫茶店で貰えるマッチを使っているという。所狭しと並ぶマッチの中に、1本だけ色が違うものを見つけた。マッチ大というより、それだけやけに太い。同じ木材といえど、それは割り箸の片割れに近かった。
「長谷川さんよ、その太ぇマッチどうした? 貧乏人用の特注か?」
「ん? ああこれ、最近ここらで貰うんだよ。もっとも、目当てはこれじゃねぇけどな」
「あん?」
「そろそろ時間だと思うんだけど……」
死んだ魚の目をグラサンに向けていると、公園で遊んでいた子ども達が浮き足立つ。すると、みな指示された訳でもないのに時計台に集まってきた。
なんだなんだと瞠目すると、長谷川はおもむろにダンボールハウスから抜け出し、同じくホームレスも寝床を抜け出して子ども達と同じく時計台の下に集まった。
まさか本当にハーメルンじゃねぇだろうな、と銀時が冷や汗をかいていると、どこからかラッパの音が流れてきた。
よく豆腐屋で聞く、あのラッパだ。
出やがったか? と辺りに視界を凝らすと、想像していたものとは異なる人物が現れた。
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時