遊びに来たよ ページ31
その翌日。
万事屋には、朝からひっきりなしに依頼人が駆け込んでいた。
昨晩、子どもが戻ってきたという親達だった。
ありがとうございます。子どもにもう会えないかと。なんと礼をしたら。
前金に加え、完遂した分と気持ち上乗せの依頼料を頂戴し、万事屋の懐は一気に潤った。
昼になる前に最後の依頼人が帰宅し、対応に追われていた三人はぐったりとソファに沈む。
「あぁ、疲れた……いっぺんに来いとは言ったけど、こんなに来るかよ…」
「良かったですね、子ども達戻って来て。早速、家賃払ってきます」
「あーあー、後でいいわ。今もう、疲れて動けねぇ…」
「疲れてって、アンタ座ってただけでしょ」
「パシリが染み付いてるお前と比べたら十分働いたわ。もう今日閉めていいかな」
「何言ってるんですか。もしかしたら、またお客さんが来るかもしれませんよ」
「うぅ、もう人に会いたくないアル……」
「何引きこもりみたいなこと言ってるの。ほら、ダラけてると銀さんみたいになるよ」
「それはイヤアル」
「おいどーいう意味だメガネ」
ぴんぽん、と軽快な呼び鈴に遮られ、ほらぁと言わんばかりにドヤ顔をする新八に蹴りを入れた。
なんだよ!! と怒鳴る新八を追い払い、体裁は整えようとソファから起き上がる。
神楽もソファから降りて、ちょこんと座り直す。
新八は、はーいと返事をして玄関先にいるであろう客人を迎えようと引き戸を開けた。
そこにいたのは、鶯色の着物に茜色の羽織りを着たイケメンだった。肩で揃えた青みのある黒髪と、同色の瞳。べっ甲のフレームの眼鏡をかけた、柔和な男性だ。
「こんにちは。ご依頼でしょうか?」
「あぁ、えっと……銀時くん、います?」
「ええ、居ますけど……」
「ありがとうございます。これ、よかったら皆さんで」
差し出されたのは、江戸でも滅多に手に入らない人気和菓子店の紙袋。テレビでも紹介され、羊羹が一本六千円の名店だ。
明らかに羊羹よりも重みのあるそれを受け取り、中へどうぞと案内した。
新聞なら追い返せとだらける男に、こんなイケメンが何の用だろうと考える。
事務所兼自宅の和室に通すと、イケメンは軽く手を上げた。
「んだよ、清水かよ。なんか用か?」
「用がなきゃ来ちゃいけない?」
「俺も暇じゃねぇの。遊びに来たんなら帰れや」
「お土産、眼鏡くんに渡したんだけど」
「どうぞ気の済むまでゆっくりしてってくれ。なんなら泊まるか?」
「さすがに日帰りだよ」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時