出陣 ページ24
「何奴!!」
「なんですかチミはってか。
そうです、私が正義の味方」
がん、と振り下ろされた木刀は、浪士の脳天にクリーンヒット。
それは、紛れもないゴングだった。
「万事屋銀ちゃんだ、コノヤロー」
なだれ込む桂一派の先陣を切って、攘夷浪士を一手に引き受けては薙ぎ倒す。
歴戦の猛者に肩を並べた攘夷四天王の強さは衰えを見せない。
白銀の髪に太刀筋、それらに覚えのある者は氷で固まったかのように動きが止まる。
「もしや、白夜叉……」
「ンな大層な名前の奴ァいねぇよ」
鉄をも砕く洞爺湖は、ときに戦の流れさえも変えてしまう。
雑兵どもは桂の部下に任せ、万事屋従業員の子ども達を探した。
「新八、神楽!!」
自分の倍、ひょっとしたら天井にまで届きそうな積荷の鎖を壊し、慎重に壁を破る。
中にいたのは、目隠しと手首を拘束されている子どもたちで、ざっと五十を越えていた。
「オイ、ガキ共ここにいんぞ!! テメーら目隠し取ってやれ!!」
「ハイ!!」
次々に鎖を破壊するも、積荷の中身はいずれにしても子どもばかり。その中に、眼鏡と中華娘はいない。
大混戦の中、桂の部下が子どもらを外へ誘導し安全を確保した。1人でも供物を逃すまいと手を伸ばす輩には、エリザベスのプラカードが炸裂する。
「クソ、これじゃあどこにいるか分かりゃしねぇ」
「銀時!!」
振り返ると、いつぞやか見た球体の爆弾を手にした桂がいる。
おいお前それは、と慌てる銀時をよそに、桂はぽいとそれを投げる。
「ウワァァアアアアーーーーーーッ!!!」
「案ずるな、ただの煙幕だ」
「って!! お前ふざけんなよ! フォルムがいつものとまるっきり変わらねぇじゃねぇか!!」
「油断作戦だ。お前も持っておけ」
「いるか! 持ってても使わねぇよ!! テメーの頭にブン投げてやろうか!!」
「子どもの解放は俺たちに任せろ。お前はリーダーと新八くんを探せ」
「あぁっ!?」
「この中にリーダーがいるとすれば、間違いなく積荷を破壊し子ども達を救出しているだろう。例え目隠しをされようと、あの野性的なリーダーのことだ。その場を切り抜けることはできるはず」
「どっか別んとこにいるってのかよ」
「おそらくな。もしいれば、至急伝える」
「……頼むぜ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ」
普段の爆弾と変わらぬ煙幕の球体を懐にしまい、倉庫内を探し回る。
見届けた桂は、背後から忍び寄る浪士を斬り伏せて部下に彼らの拘束を命じた。
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時