突撃体勢 ページ23
靡く長髪が、風にさらわれる。
複数の部下と共に、桂は目的の地へと集っていた。
すぐに持ち場へ行くよう指示を出し、今か今かと待ち構えている。
攘夷党の遊技場は、寂れた港の倉庫だった。自前の船ならば足がつかないと考えたらしい。
ざり、と足音がした。
刀の鯉口を切り、刀身を向けようとすると大きな手で阻止された。
「やめとけよ」
「銀時……」
「んなとこで大勢集まりやがって。花火パーチーでもすんのか、おめーら」
「花火、な……奴らの悪事を世に打ち上げることに相違はなかろう」
「俺も参加させてくれよ。ウチのガキ共はせっかちで、もう中に入っちまってるがな」
「まさか、リーダーと新八くんも……」
「あァ。拾い食いすんなっつったのによォ、食い意地張った奴らだよ」
「そういう所は貴様に似たものだな」
「誰が犬だコノヤロー」
小声の小競り合いに割って入ったのは、カシャカシャというカメラのシャッター音だ。
見ると、桂の部下が小さいそれを持ちレンズを向けている。
被写体は、攘夷党の温床に足を踏み入れる壮年の女性。傍らには、いつぞやに見た、ちりめんの紙芝居師が半歩後ろに控えている。
そういえば、かの天人は両性だと言っていた。爺とはいうが、婆にもなれるのか。
写真を撮り終えた部下は懐にしまい、退避しますとその場を離れた。どうやら、ここで御役御免らしい。
「部下が中にいる。合図を知らせたら突入だ」
「なんなの、この警察24時みてーなシチュエーション。俺とっとと依頼終えてーんだけど」
「警察じゃない、攘夷志士だ」
「や、いつもの無理やりねじ込まなくていーから」
そんなにあのチンピラ警察と同列にされたくないかね、と銀髪を掻き回す。
ざざ、と砂嵐のようなノイズが聞こえ、桂の懐からトランシーバーが覗かせる。
鶴森、小沢両名が攘夷党の頭と共に応接室に入ったとのこと。好機が来た。
「よし、行くぞ銀時」
「あ、ねぇ口上とか言った方がいいかな。水戸黄門ぽく」
「何の話をしているのだ、突撃するぞ!!」
ドラマのワンシーンぽくカッコよく入りてーなとぼやく万事屋の首根っこを掴み、部下となだれ込んで突撃した。
どかん、と喧しいノックと一緒にお邪魔する。中には幾つか背丈の大きい箱があり、厳重に鎖が掛けられている。
小刻みにガタガタと揺れているところを見ると、それらは天人の供物らしい。
有機物の扱い間違えてんな、と舌打ちが漏れる。
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時