献金疑惑 ページ2
幕府特別武装警察 真選組。
幕府直属の警察組織にして、攘夷志士の天敵。
彼らが居を構える真選組屯所の一室にて行われている朝礼は、隊士達の寝ぼけた頭を叩き起こすかのような内容だった。
「昨日の深夜、若年寄 鶴森齋元と攘夷浪士複数人の会合が行われた。場所は、吉原桃源郷の見世『鈴み屋』」
ふぅっ、と紫煙を吐き出すのは真選組副長の土方十四郎。その手元には、未だ副流煙を漂わせる煙草と二枚綴りの書類が握られている。
苦々しげな表情に、一同の顔が引き締まる。もっとも、眠気をただ我慢しているようにも見えるが。
静かな空気を霧散させるように、土方の報告を引き継いで局長 近藤勲が閉じていた目をゆっくりを開ける。
「幕府の役人と攘夷浪士の献金疑惑とあっちゃ、将軍様の立つ瀬がない。しかも、報告された攘夷組織はかの鬼兵隊と繋がりを持つと言われている」
『鬼兵隊』
その組織を口にして、隊士達のどよめきが広がる。
鬼兵隊といえば、10年前に起こった攘夷戦争において結成された攘夷志士の軍隊。文字通り、鬼のように強かった猛者達の集いとも言われている。
その軍を率いていたのが、現在では過激派攘夷志士として知られる高杉晋助。そのテロ活動は枚挙に暇がなく、将軍を狙った縁日での
今回、幕臣と繋がりがある攘夷党のバックに鬼兵隊がいるとなると、また何やらテロ活動を起こすのではないかと危惧されているのだ。
「まだ確信があるわけじゃねぇが、鬼兵隊の河上万斉と通話のやり取りが数回あったという報告がある。時間帯は固定されてないが、通話場所は割れている。そこに監察を張らせている」
「ザキの報告が上がり次第、鬼兵隊と攘夷党の関係を洗い出す。いいな」
はい!! と揃った返事に頷き、土方は灰皿に煙草の灰を落とす。
一斉に退室する隊士達の中で、副長たる男は一人を呼び止めた。
黒髪の隊士が多い中で一際目立つ、ミルクティーカラーの髪色をした甘いマスクの男。
朝礼中に堂々とアイマスクを装着し、副長や局長の前でぐっすりと眠っていたその隊士は真選組きっての剣の使い手、一番隊隊長の沖田総悟という。
「なんですかィ、土方さん。俺ァまだアンタのマヨネーズにタバスコなんて入れてやせん」
「まだってなんだ、コラ」
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たまごどーふ(プロフ) - 銀魂の男主小説、最近数少なくなってるので読めるのがとても嬉しいです…更新頑張ってください! (2021年2月19日 23時) (レス) id: 45f2a26062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年1月28日 21時