Book 0104 約束 ページ6
「今日は緊急会議やって言ってたやろ！
今エミさんが来んから皆で探し回っとったんやで！」
「え、あ、そうでしたね、すっかり...」
「忘れてもうてたんやな...。どうせそんなことやろうとは思ったけどなあ、」
ハア、と彼はため息をついた。それとは対照的にエーミールは焦りだし、一気に紅茶を飲み干した。
「あれ、エミさんなに読んでたん。」
いくつかの本のタイトルを見てなるほどなあ、と呟いた彼は、そこで初めて私の方を見た、というか私の存在に気づいた。
「え、あ、いたんか！すまん、無視してもうて。」
「大丈夫ですよ。」
律儀に謝る彼を見て、彼も幹部だろうに優しい人だなあ、と思った。少し苦労している人なのかも、とも。
それから彼は本と私とを見比べ、こう言った。
「これ、エミさんが借りたことにして、今度俺の部屋持ってきてくれん？」
「え、はい、分かりました...ですが、エーミール様の部屋でなくてよろしいんですか？」
純粋に思ったことを口にしてみる。
「どうせエミさんだいたい全部読んでもうてたやろ？」
そう彼がエーミールに尋ねるとそうだと言うように彼はコクリ、と頷いた。
「それに俺来館処理もしてないし...今からやるとめんどくさいからな、早く行かんと俺まで怒られてまう。」
じゃあ、そういうことで。彼はそう言うと半ばエーミールを引きづるように連れていった。彼女は重要なことを聞いてない、と思い出す。
「すみません、貴方のお名前は何でしょうか？お名前が分からないと届けられないので...。」
「そうか、言ってなかったな。俺はロボロ、こっちは知ってると思うけどエーミール。」
ここで引きづられているエーミールが口を開いた。
「貴女の名前は？」
「A、です。」
ロボロは本よろしくな、と言って去っていった。エーミールはAさん、また二週間後会いましょう、と言って引きづられていった。
彼女にとってはどっと疲れた1日だった。
それにしても、騒がしくて楽しい人達だったなあ。
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作者名：六連星 | 作成日時：2019年8月17日 23時
