逃走と転落 ページ6
鹿野とか名乗った奴に腕を引っ張られそうになる。
そんな少年を見、すぐに手を振り払った。
ダメだ。此奴について行っていい事がある様には見えない。
私に利益なんてありそうにない。
カノ「……ありゃ」
嘘っぽい笑顔のまま残念そうにする少年。
その胡散臭さが更に私を煽ってきているようだった。
『御生憎。……そう簡単に捕まりはしないよ』
カノとやらはまた腕を掴もうと手を伸ばしてくる。
が、その程度躱せないほど私はとろくない。
すぐに建物の壁伝いに屋根へ登って、そのまま逃げ出した。
まあ、あいつなら走ればすぐ撒けるだろう。
____そう思っていた。
が、しかし。
いくらか走って、少し上がった息が喉を忙しなく通り抜ける。
屋根を蹴って、壁を蹴って、塀を超えて……
逃げているその間も、あの少年の気配を後方に感じていた。
少しずつスピードを速めても離れないそれに嫌気と焦燥を募らせる。嫌な汗が首を伝った。
無我夢中で走っているうちに、町外れの崖の前まで辿り着いていたようだ。
秋が来て少し冷たくなった風に、汗で濡れた首筋を撫でられる。
カノ「なんでさっき追いかけられてたかは知らないけど、何かあったんじゃないの？」
ひくり、と口角が引き攣った。
ゆっくりと振り返って見れば、そこには先程の少年。
肩を上下させながらも、決して言葉を止めないようにしているのが分かった。
カノ「……もし君が“独り”なら、おいでよ。僕らの所に」
先程と同じ事を繰り返す先方。軽く息を吐いて、私は尋ねた。
『こっちの利益は？』
カノ「それは僕には分からないかな。君が何に利益を感じるかなんて分かんないし、それは自分で見つけるものだと思うんだ」
『言っている事はご尤も。だが信用も信頼も出来ないね』
溜息が張り詰めた冷たい空気に浮かんで消える。呆れを隠そうとも思えなかった。
少しだけ、足を後ろへ動かす。小さく、一歩ずつ。崖下は普通の道路だ。この少年なら落ちればひとたまりもないだろうから、きっと追って落ちては来ないだろう。
カ「ちゃんと、何やってるかは話すからさ、一回来てみな____!?」
息を呑む少年。私の身体が崖下へ降下していく事も、安易に想像できたのだろう。私の目には、
ああ、ここから逃げた後、何処へ行こうか。
そんなのんきな事を考えていた私の腹部に、何か温かいものが巻きついた。
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赤野@征弥(プロフ) - ナイさん» こちらこそすみません!!この先の先のそのまた先くらいの話を書くためにはちょっといじる必要があって……(´･ω･`) (2015年8月6日 19時) (
レス) id: 781b8cc636 (このIDを非表示/違反報告)
ナイ - 訂正します。ちゃんと書いてあったのによんでいませんでした。 スミマセン (2015年8月6日 15時) (レス) id: 919c2dae42 (このIDを非表示/違反報告)
ナイ - 色々設定で気になったのですが、キド カノ セト モモの年齢が違うと思うんですが・・・ 違っていたらすみません。 (2015年8月6日 15時) (レス) id: 919c2dae42 (このIDを非表示/違反報告)
アクア - 更新ありがとうございます！この小説の続きがいつも気になっています！ (2014年8月12日 23時) (レス) id: 4dd28a29c5 (このIDを非表示/違反報告)
赤野@征弥.冬樹(プロフ) - ラリィナ♪さん» ありがとうございます♪頑張らせていただきました……！これからもよろしくお願いしますね！ (2014年8月11日 18時) (レス) id: e5909147d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美氷空 リリサ | 作者ホームページ：http://なにそれオイシイノ？
作成日時：2014年7月11日 20時
