一回きりの伝言 ページ9
明らかに怪しい着信。聞かずにこのまま放っておくほうがいいのかもしれないが、好奇心というものが邪魔をする。
ここまで悩んだ挙句、俺は再生ボタンを押してしまった。
映像はないらしく、画面は真っ青だ。
「?」
何も聞こえない。というか1秒をとうに過ぎているのに、元の画面に戻らない。
やはり、聞いてはいけないものだったのか。
『…………聞こえているかしら』
「!」
しばらく経って、聞こえてきたのは聞き覚えのある声。
「シズカ……!?」
『聞こえているなら、あなたなのね、アラン。
あなた以外の人間にはこの着信は無音に聞こえるのよ。Aでさえね』
だから録音時間が00:00だったのか。
『久しぶりね、アラン。……と言っても私はさっき会ったばっかりなんだけど。
この録音を聴いているということは、もう私はあるべき姿になった後なのね。
ありがとう、私を還してくれて』
あいつ、いつこんなものを録音してたんだよ。
これじゃあ、遺言以外の何物でもないじゃないか。
『Aはどうしているかしら。私がいなくなって、少しはしっかりした?』
今はまだはっきり言えないけれど、少しずつ成長していると思う。
だから心配すんなよ、シズカ。
『さて、本題に入るわね。
実はこの録音があなたに届く条件は、私が還ることだけじゃないのよ。
あなたも、うすうす気づいているんじゃないかしら』
さすがシズカだな。
『メガシンカエネルギーの回収。恐らくヒャッコクの日時計のエネルギーね。
私がお礼として渡したそのメガリング、エネルギーを蓄積できるように作られてるのよ。
それだけじゃなくて、集めたエネルギーの量に応じて、メガシンカのレベルも上がるようになっているの』
なんだその特別仕様は! めっちゃくっちゃ助かるな!
最高だぜシズカ!
『それは私からの餞別よ。
それを受け取ったからには、ちゃんとAを守りなさいよね』
当ったり前だろ。
『じゃ、頑張りなさいね。あなたのお母様も応援してくれてるんだから。もちろん私も。
さよならアラン。Aをよろしくね』
そこでやっと画面が元に戻った。
着信履歴には、もう20時43分の着信はなかった。
一回きりしか聞けないようになっているのか。
「ふぅ……いいお湯でした〜」
ちょうどいいタイミングでAが風呂から上がってきた。
「あの、何してるんですか?」
「まあ、いろいろな」
「腑に落ちないけれど、まあいいです。
それより、一つ頼みたいことがあって……」
24人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます!続編にまたぐ感じで、アランの計画が露見していきます!お楽しみに! (2016年10月16日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
夢代ツバキ - 頂志桜(サム)さん» アラン、何する気なのかな?まさか、ピアノだったり・・・?ドキドキが止まんないです。頑張ってください (2016年10月16日 11時) (レス) id: 39392b36ad (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - ユーさん» ありがとうございます!優しいというか、過保護というか……。そんなところを気に入ってもらえると嬉しいです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
ユー - アラン、優しい!続き、楽しみです! (2016年10月14日 15時) (レス) id: fa9502f7ab (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - 夢代ツバキさん» ありがとうございます! 寝てる最中にそんなことされてるとは、本人は知らないんですよね〜。本当はちゃんとそこらへんも掘り下げたかったんですけれど、何しろ話数がきついので……。 (2016年10月13日 21時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年9月30日 18時